第九話 空の使徒
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た、この星の理から外れた最悪の存在を。
自分より先に死んでいった同胞達(イスラフェルとマトリエルは別)を殺した相手のことを。バラバラに砕ける前の白い月の中にいたアダムが南極で眠っていた頃、氷の中で封じられていた時も失せることのなかった世界を焼き滅ぼすほど怒りの炎を感じ取って、白い月の中にいたアダムが怯えていたのに。
奴が自分を見ている。空の彼方にいる自分を真っ直ぐ見ている。自分を殺すために見ている。
サハクィエルは、殺意が発生している地点へ向けて移動した。
そしてサハクィエルが見たのは、セカンドインパクトによる海底の隆起によってできた小さな小島の上に立つ、黒い怪獣王が空の彼方にいる自分を睨みつけている姿であった。
怪獣王ゴジラをしっかりと認識したサハクィエルは、疑問を持つ。
ナゼ我々(使徒)ヲ滅ボソウトスル?
自分達は、アダムへ還りたいだけなのに、なぜあの黒い破壊者は自分達を殺すのか。
おまえの存在意義はリリン(人間)に復讐することじゃなかったのか。
サハクィエルの問いかけに、ゴジラは何も答えはしなかった。
その代りのように、サハクィエルが見おろすゴジラの背びれが青白く発光した。
それを見たサハクィエルは、両端にある自分の体を即座に千切り、ゴジラに向けて落下させた。
***
雲よりも高い遠い空でオレンジ色の熱線と、二つの巨大な高熱の塊がぶつかり光の粒となって空に飛散した。
「ようやく動き出したか、ゴジラめ。派手な花火だな。」
飛行する轟天号内でゴードンが愉快そうに笑って言った。
「宇宙からの飛来物を正確に、それも一撃で撃ち落とすなんて…! くっ、相変わらず出鱈目だ!」
「デタラメだからこそ奴らしいじゃねーかよ。こうでなきゃ戦いがいがない。」
「艦長もたいがいデタラメですがね!」
波川の命令とはいえ、普通の人間なのに、身一つで、刀で使徒マトリエルの足を二本切り落としたからだ。副艦長の言葉に他の船員達も心の中で同意した。
「観測施設からの伝令! 使徒は再生する速度を速め、再度ゴジラ目がけて体の一部を落下させる動きを見せているとのことです!」
「そんな、今まで本気じゃなかったというのか!?」
オペレータの言葉を聞いた副艦長が目を見開いた。あの巨体で体を千切るという荒業を武器にしているのに第一攻撃から第二攻撃までの合間が短くなっているのだ。
アートな見かけに完全に騙された、大火力の荷電粒子砲をほぼ休みなく発射し続けていた使徒ラミエルのこともあるので、使徒の再生力や攻撃のためのエネルギーの生産量は科学の粋を越えているのかもしれない。
「使徒が再び落下攻撃を開始したとの報告! 落下速度、ATフィールドのエネル
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