第九話 空の使徒
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Iに繋いでいるパソコンに映された映像と新たな動きを伝える通達にリツコがミサトを手で制して液晶画面を食い入るように見つめた。
衛星軌道にいるサハクィエルが先ほど千切った部分を再生させながら、太平洋に向けて移動していた。
そしてサハクィエルを観測していた地球防衛軍の衛星と天体観測施設が、サハクィエルを追跡し、移動予定地点を割り出そうとデータの照合をしていた時、予定地点付近に超高濃度の放射線物資の塊を検知した。
それがゴジラだと分かるのにそう時間はかからなかった。
***
サハクィエルは、空気もない宇宙空間から地球を見おろしていた。
サハクィエルにとって宇宙空間にいることが強みであり、体の大きさ、そしてATフィールドを持つ己を、地球防衛軍が殲滅するのは容易なことではないと分かっていた。
サハクィエルは、怒っていた。先に死んでいった同胞達の魂を引き継ぎ記憶を共有して、自分がこの世界に姿を現した瞬間に湧きあがった最初の衝動(※感情かどうかは理解してない)であった。
アダムとの融合を邪魔してくる最大の敵である地球防衛軍を滅ぼしてやる。そのつもりで第三新東京を後回しにし、世界各地にある地球防衛軍の基地を破壊しようとしたのだ。その基地の一つを消滅させるのに成功し、彼らに絶対的な恐怖を植え付けるのに成功した……はずだった。
サハクィエルは、人間を見誤っていた。それもセカンドインパクト前に怪獣との戦いを繰り広げてきた意地と根性の人類の代表格みたいな地球防衛軍の底力というか、諦めの悪さを。
二度目に落とした自分の一部があっさり撃ち落され、燃え尽きて消えてしまった。
アダムの系統として生まれ落ちた使徒の一柱である己の中のアダムの記憶が訴える。
リリスの子孫であるリリン(人間)の知恵の恐ろしさを。
知恵の実で進化したリリスの系統を侮ってしまった。だが今更遅いが喧嘩を売ってしまったからには、後には引けない。
二度目の攻撃は防がれてしまったが、そう何度も防げるはずがない。知恵を武器とする人間でも空の彼方にいる己に届く武器を作るには時間がかかるであろうし、圧倒的物量と生命の実による無限の生命の前にいつか屈するだろう。
サハクィエルは、じっくりと腰を据えて地球防衛軍を根絶やしにしてやろうと地球を見おろしていた。
しかし落ち着いて行動していたサハクィエルは、アダムの記憶にある恐ろしい殺意に気付いた。いや、それどころか先に死んでいったほとんどの使徒が殺される瞬間に最後に目にしたあの世界を焼き滅ぼしそうなほどの怒りに燃えるあの目が自分に向けられていることに気付いてしまった。
地球防衛軍にばかり意識を向けていてすっかり忘れてしまっていた、あのリリン(人間)の罪から生まれ
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