第九話 空の使徒
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えるよう促した。
「現在使徒は、ユーラシア大陸、…ロシアの上空を飛行中です。」
「ああ! 使徒が分離したぞ!」
「落下していく! まさか自分の一部を地上に落下させるのがこの使徒の…!?」
「落下予定位置を割りだせ! 急げ!」
「ゴードン大佐? なにをそこまで…。」
「馬鹿かおまえらは! あんなでかい奴の一部が落ちてきたら、どうなるか自分の頭で考えられないのか!」
「そ、そんな…、いくらなんでも大気圏で燃え尽き…。」
「科学部からの報告です! 切り離された使徒の一部から強力なATフィールドを確認! 更に削れながら落下位置を修正しています! 落下予定地は……、地球防衛軍・ロシア基地!!」
ゴードン以外のこの場にいた者達全員が目を見開いた。
ライブモニターに映された、体の真ん中を残して両サイドの体の部分を切り離した使徒の本体と、地球の重力に引かれるまま落下して凄まじい高熱を纏い落下速度を増していく使徒の一部。
落下していく使徒の一部を追ったカメラが映し出したのは、ロシアだった。
「ロシア基地に緊急避難指示を!」
「りょうか…、っ、科学部研究部からの解析結果の緊急報告! エネルギー測定によると、落下すれば基地だけじゃなく、地下及び周囲およそ数キロメートルに、落下による衝撃が広がる可能性が…! 間に合いません!」
「うわああああああああああああ!」
ロシア人の上官の一人が頭を抱えて絶望の悲鳴を上げた。
そして数分後、衛生のライブモニターで、ロシアの基地があるはずの場所に大きな炎が膨れ上がった。
皆言葉がなかった。出せなかった。僅かな間だった。大国ロシアにあった地球防衛軍の基地の一つが広範囲を巻き込んで地図上から消え去ったこの瞬間を、ライブ(生中継)で見てしまったことに。
「……ロシア基地は…?」
波川が体を小刻みに震わせながら、なんとか冷静に保とうとしている声で指示した。
「……ロシア基地に…、通信は……、つ、繋がりません…。」
秘書が震える声でそう伝えた。
それを聞いて、先ほど絶望の悲鳴を上げたロシア人の上官が席から崩れ落ち床で声を上げて泣いた。
「そんな、馬鹿な…、使徒は第三新東京を狙うはずでは?」
「まさか…、今まで邪魔をしてきた我々に標的を変えた? なぜ、今なんだ? なぜなんだ!?」
「使徒の動きは!? 今、どこを飛んでる!?」
ロシアの基地が一瞬で消滅させられたという衝撃に、ほとんどの者達がパニックになる中、ゴードンが憤怒の表情を浮かべて波川の部下に確認を急がせた。
「使徒は、今、アラビアとヨーロッパ諸国の間ぐらいの位置に…。波川司令、モニターの使徒が…!」
「ええ。もう再生を始めているわ。つまりこの使徒は、真ん中を抜いて両サイ
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