第八話 使徒も怯えるリリン(人間)!?
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界が展開されそうになったので、無自覚イチャイチャ馬鹿ップルにうんざりしている風間が強い口調で無理やりその世界を破壊した。
フォローしておくが、風間は尾崎と音無の仲を妬んでいるわけではない、むしろ一番応援している。
「そ、そうだ。そうだよ…。あいつが、小さいシンジ君の姿と声を借りた姿で現れて、それで話をしたんだ。まさか、あんなことを聞かされるなんて思いもしなかったよ。信じられなかった。信じたくなかった。でも、嘘偽りのない精神の世界だからあれが全部真実だって分かるんだ。あの後、意識がなくなったから夢だったかもしれないって無意識に自分に言い聞かせようとしてたのもあるせいで、自信が持てなかったんだ。だからシンジ君の心の中で初号機の意思に会って重大な話を聞いたってはっきり言えなかったんだ。すまない…。信用してなかったんじゃない。俺が悪いんだ。」
俯き、そう語る尾崎を見て、風間は大きく息を吐いて、頭をかいた。
「生死の境を彷徨ったんだ。記憶が曖昧でも仕方ない。むしろそこまではっきり覚えてる方がおかしいぐらいだ。」
「えっと…、すごい頭に焼き付いちゃってたから。だってすごい情報だったからつい…。」
「さすが“カイザー”ってとこか? 普通のミュータントなら、脳が焼け焦げて死んでたってのに…、おまえはマジで規格外だな。ま、そのおかげで、とんでもない貴重な情報を持ち出せたわけだから、その規格外さに感謝しないとな。」
「そうだな。」
尾崎はただでさえ人間を超越した新人類であるミュータントでも、更に上をいく突然変異体である“カイザー”と名付けられた存在である自分自身をあまり良く思ていない。彼が心優しく、自分より他人を優先する正義感が強い性格であるため自分が誰よりも優れた力を持っていることが辛いと思うことがあるのだ。シンジの心の中に精神感応でダイブした時、初号機に指摘されたことに即座に否定はしたが、実は少なからず“孤独”を感じていたことがあった。
自分だけがこの世界でたった一人しかいないということ。数百万分の一というぐらい低確率で生まれるという科学的なデータがあるものの、現在尾崎以外に“カイザー”がいないこと。
強すぎる力は、諸刃の剣である。
使い方次第。あるいは、周りの認識で力の持ち主を悪魔にして、どこまでも傷つけてしまう。
強すぎる力を持て余す尾崎の優しすぎる性格に、力では劣る者達が妬まないはずがない。その妬みを知るたびになぜ自分がこんな強い力持たなければならなかったのだろうかと繰り返し考えた。自分じゃなく、もっと力を持つに相応しい者達がいるはずだと思った。
しかしM機関の社会貢献の仕事の時、その大きな力で沢山の命を救い、仲間を守ることができた。
力を持たぬ正義と優しさでは何もできない。他の者達ではどうする
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