第八話 使徒も怯えるリリン(人間)!?
[15/19]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
も外見や遺伝子的にユイに近いことから思い入れが圧倒的に強く、現在いるレイが地球防衛軍の手に渡ってしまった時の荒れっぷりからもその執着ぶりが明らかだ。
地球防衛軍にいるレイがあらかじめ刷り込んでおいた消えたいという願望から自殺して、プラントのレイのクローンのいずれかに入って手元に戻るのを待っていたが一向にその兆しがなく、暗殺を企てようとしていた矢先にレイのクローンとその材料のすべてが焼き払われて失われてしまった。そのため現在地球防衛軍にいるレイ以外にもうレイはこの世に存在しないということになる。
レイの育成やクローン体の維持などの研究をすべて任されていたリツコは、母親絡みの確執もあり、ゲンドウに対する復讐をかねてレイを利用していたのだが、何者かにこうも徹底的に破壊されてなんかもう色々吹っ切れてしまった。
レイのクローン体の破壊は、自分の手でと考えていたのに、っとリツコは、自虐的に笑った。そして顔面強打でサングラスを粉砕して額を割り、鼻から大量の血を流しながら運ばれていったゲンドウの情けない姿を思い出し、地下プラントを破壊してくれた犯人に感謝した。
ゲンドウのことだから、初号機からサルベージを行いレイを作ろうと躍起になるだろうが、そのための機器も施設も破壊され、一から作ろうにも地球防衛軍の監視は厳しく、秘密裏に建設しようものならすぐ気付かれるだろう。仮にレイのような使徒と人間のハイブリッドの作成に成功しても、そこにレイの魂が宿ることができるかと言ったら微妙なところだ。世界有数の頭脳であるリツコの力をもってしてももうレイを作ることは不可能なのである。
リツコは、復讐を果たすためゲンドウに従っていたがために身を亡ぼす気で今まで生きてきたが、この短期間で随分と自分自身が変わったというのを実感した。
思い返せばサキエルの襲来のときに復活したゴジラと、その後の地球防衛軍の復活からすべてが変わった。
そしてつい最近で思い出すのは、エヴァのことで自分を訪ねてきたミュータント兵士の一人である風間のこと。
あの不機嫌そうな顔に反して、守りたいもののために戦う戦士としての強さを宿した眼差し。リツコは、不覚にもそんな風間を美しいと思っていた。捻くれ者が見れば偽善だのなんだのと好き勝手に貶すであろうあの真っ直ぐさこそ、心という見えない物を進化させてきた人類が持つ強さなのではないかとも思った。ああいう者達で構成された地球防衛軍だからこそ、地球防衛軍は、長らくゴジラを始めとした怪獣達と戦い続ける強さを維持できたのだろう。
「奇妙な巡り合わせだわね。」
リツコは、クスクスと笑った。
「あの子(風間)、また来てくれないかしら?」
そんなことを口にするリツコであった。どうやら彼女の心からはすっかりゲンドウはいなくなっているようだ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ