第五話 ゴジラはどこへ行った?
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風間が急行している頃。
青い髪の少女こと、綾波レイは今まで感じたことのない感情に困惑していた。
彼女の赤い目に映るのは、必死に歯を食いしばり彼女の手を握って落ちないように踏ん張る同じ年ぐらいの少年。
レイも軽い方だが、少年の方も同じぐらい軽いのでズルズルと少女の重みは重力に引っ張られて少年ごと高所から固い地面へ落とそうとしている。
「離して。あなたまで落ちてしまう。」
「ダメだ!」
レイは、感情のない顔と単調な口調で少年に自分の手を離すよう言うが速攻で拒否される。
レイは、ますます困惑する。
なぜ、この少年は高所から飛び降りた自分を助けたのか。このままでは二人もろとも死ぬと分かっているのにどうして離そうとしないのか。どうして知らない間柄なのにこんなに必死になってくれるのか。
エヴァンゲリオンに乗れなくなり、ネルフから引き離されたレイは、自分の唯一の身のよりどころであった場所も他人と自分を繋ぐ絆を失ったと思い、刷り込まれた消えたいという感情に引きずられるまま病室を脱走して投身自殺を図ろうとしたのだ。
喪失感のあまり後ろから追いかけてきていたシンジの存在に気付くことなく、レイは、屋上に来て身を投げた時に駆けつけてきたシンジに手を掴まれて、やっとシンジの存在に気付いた。
「お願い。私は消えなくちゃいけないの。あなたまで巻き込めない。」
「だからって死ぬなんておかしいよ! くぅう!」
「でも…、私は……。ダメ、お願いだから、この手を離して…。」
少年の半身が高所から出始めた時、レイは知らず知らずのうちに自分の顔が悲しみで歪んでいたのに気づかなかった。
このままでは、二人とも死んでしまう。それではダメだと思うけれど、どうしたらいいかレイには思いつかなかった。それほどレイは混乱していた。
「ううう、うわぁあああ!」
「!」
そしてついに少年がレイを掴んだまま屋上から落ちた。
重力に従い落ちていく二人、それでも少年はレイの手を離そうとはしなかった。
落ちていく最中、酷く時間が長く感じられた。
その間、レイは、ようやくどうすれ少年を巻き込まずに自分だけが死ねるか思いついた。
そして意識を集中しようとした時だった。
「うおおおおおおおおおお!!」
斜め下の方から男の雄叫び。
そちらを見た時、黒いジャンプスーツを身につけた青年が垂直の壁を凄いスピードで横走りしてきて、そして少年と少女の体を抱きかかえた。
そして青年の腕につけられたワイヤー発射装置からワイヤーの先端が発射され、建物の凹凸に引っかかるとそのまま止まるのではなく、落下速度を少しずつ抑えながら三人を地面に降ろしていった。
やがて三人が地面に降
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