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ゴジラ対エヴァンゲリオン(仮)
第二話  機龍フィア、機能停止!
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でに60歳を過ぎている彼の扱いは変わっていない。むしろ機龍フィアが開発されることが決定された時、恐らくもっとも過酷な実験に身を捧げなければならなくなった。
 ゴジラを倒すための兵器を開発し、実戦でしか得られないデータを収集して彼以外でもゴジラと対等に、それ以上に戦うことができるようにするために機龍フィアに乗せて戦わせる。一歩間違えればツムグがゴジラの思考に侵されてしまう可能性も、彼に埋め込まれたナノマシンや機器によって管理され、もしもの時は体内のそれらの機器のセットされたもしもの時の保険と、機龍フィアもろとも自爆するようプログラムされている。データを取るためとはいえ人類の敵になる可能性を高めてしまうゴジラに接近させる機会を与えているのはいつでも殺せるよう(殺せるぐらいの痛手を負わせる)にされていたからだ。
 二体目の使徒の襲来と二回目のゴジラ進撃とその戦いで脳へのダメージを受け、今までどんな実験でも気絶すらしたことがなかったのに意識を失う事体が起こった。
 このことは、機龍フィアのDNAコンピュータを大幅に見直し、更なる改良がされる糧になった。
 あと機龍フィアの素体になっている彼の細胞が機龍フィアに浸透し、生物と機械の完璧な融合による自己修復能力を機龍フィアが手に入れる結果を生み出した。
 波川は、椎堂ツムグがいる施設から去った後、大きなため息を吐いた。
 波川は若くない。椎堂ツムグのことはよく知っているし、対話だってしている。椎堂ツムグの扱いについては、超危険レベルの毒物か兵器を扱うような規定になっているが、組織の内部では椎堂ツムグのマイペースさがベテラン勢に浸透してしまったのかはたまた勝手に監視施設から自由に脱走しては気楽に組織の人間に話しかけてきたりする姿に慣れてしまったのか、組織の中で神出鬼没、勝手に脱走はするけど外界に影響を与えたり悪さはしたことがない椎堂ツムグの行動を一々咎めなくなってしまった。
 大問題なのだが、その勝手な行動が思わぬ助けになることもあり、もう誰も問題視しなくなったのだった。
 そうなれば椎堂ツムグのことを長年知る人間は、少なからず情を持ってしまうようになる。波川もそうだ。担当医の前でああは言ったが本当は心が痛かった。昏睡状態に陥った椎堂ツムグを心配していた。
 しかし椎堂ツムグの犠牲がなければ手に入らない平和な未来のため、情を捨てなければならない。人間らしい優しさなどが欠如したマッドなタイプの科学者達はともかく、人間らしい心を持って下の者達を導いていかなければならない波川は、人間らしい良心と冷たい司令官として立場の間で苦しむ。
「ゴジラが人間を許さないのは、こんなことをずっと昔から続けて何も変わろうとしないからなのかしら…。」
 波川は、迎えに来た車内で、窓の外を眺めながらそう呟い
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