第二話 機龍フィア、機能停止!
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にすでに言っています。今回のことでDNAコンピュータの大幅な見直しを行うと報告を受けているわ。椎堂ツムグには、まだ死んでもらっては困るのよ。まだ椎堂ツムグ以外のパイロットでも十分な戦闘ができるように調整も次の対策もできていないのですから。」
「…はい。」
冷たさしか感じられない波川の口調と言葉に、担当医は、恐怖を感じながらもなんとか返事をした。
波川は、司令官としての立場があるため時に冷酷で残酷な決断を下さなければならないことは多々ある。
椎堂ツムグの件もそうだ。貴重な検体であり、ゴジラを倒すこととG細胞の平和利用に繋がるかもしれない希望。それと同時に最悪最強の人類の敵になりかもしれない危険すぎる可能性もある存在。
椎堂ツムグが発見されたのは、今から約40年前。
ゴジラとゴジラと敵対した怪獣との戦いで壊滅した街で、特に遺体の発見すら困難な場所で不自然に無傷な姿で発見されたたった一人の生存者。それが椎堂ツムグであった。どこが不自然だったかというと、彼は大きな瓦礫が散らばる場所の影で座り込んでおり、衣服は破れて半分以上焼けていて、その下の肌は火災による煤まみれになっていたのと、血だけじゃなく骨や内臓から出る特有の体液が彼が座り込んでいる場所を中心に大量に流れた跡がカラカラに乾いていたことだ。保護した時に汚れを落としてみると、傷は一切なく、精密検査をしても骨折も内臓に損傷もない健康体そのものだったのだ。発見した時の状況から見て明らかにおかしいということで細胞の検査をしたところ…、彼がゴジラの細胞で変異した人間だということが判明したのだ。そして彼は、G細胞完全適応者という名称を付けられ怪獣を研究する機関に送られた。
椎堂ツムグの名前は、彼の本名ではない。彼が発見された場所にあった看板などの文字を繋げて付けた適当な名前だ。
本名その他。一切不明なのは、彼が保護された時、自分のことについて何も覚えていなかったからだ。
ただ、漠然とゴジラのことと、ゴジラのおかげで自分の体に大きな変化が起こり生き延びたということだけを覚えていた。そのせいか彼は、ゴジラに対し、ある種の尊敬のような信仰のような感情を抱いている。ゴジラのことをわざわざ「ゴジラさん」と呼ぶのは、40年前から変わっていない。
人間でも怪獣でもない自分自身の立場や、監視下に置かれて様々な惨い実験をやられてもどこまでもマイペースで、当時の科学者達や地球防衛軍の者達を困惑させたと言われている。
発見された当時、10代後半か、20代前半ぐらいの外見はまったく変わっておらず、G細胞の不死の力が彼を本当に不老不死にしたのでは思われているほどだ。記憶がないので正確な年齢は不明だが、20代だったとしたら、今年でもう60は過ぎている計算になる。
外見は若いまま、す
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