第二話 機龍フィア、機能停止!
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煙を吹いた関節部分も細胞の働きで自動的に再生を始め、修理する部分は表面の装甲と人の手が必要なジェットと射撃武器などの武装だけだった。なお外装部分も、一部細胞が浸食しておりその内装甲も修理がいらなくなるのではと予想された。
生体細胞が無機物と融合し、更に破損を修復する様は、機龍フィアの開発に携わった特にマッドだと言われるタイプの生物学者達を狂喜乱舞させた。彼らにとって機龍フィアの開発も、その材料として細胞を提供した椎堂ツムグも自分達の好奇心と研究意欲を満たすための足掛かりで道具にしか過ぎない。
機龍フィアの開発と改良、そして戦いの記録は、生物化学部門の糧にもなっていた。
G細胞の素晴らしい特性は、セカンドインパクト前から研究者達に知られていた。だがその副作用(怪獣化)ゆえにいまだにうまく利用する方法が見つからないままだった。
そんな時に現れたのがG細胞を取り込みながら人間の形と意識を保っているG細胞完全適応者である椎堂ツムグである。
椎堂ツムグの細胞は、怪獣化の副作用なくG細胞を活用できる光が見えたとして科学者達はこぞって彼の細胞を研究した。
しかし調べれば調べるほど、椎堂ツムグの細胞は、ゴジラと同じく持ち主に依存しており、他者に与えれば拒絶反応が起こることが分かってしまった。動物実験で末期癌に侵された病気の動物に椎堂ツムグの体液から採取した細胞を与えたところを凄まじい勢いで癌細胞を正常な細胞にしていったが、治癒の過程で凄まじい細胞の変異に耐えきれずその実験動物は死んでしまった。怪獣化はしなかったが、解剖したところ全身を侵していた悪性の腫瘍は綺麗になくなっていて、それ以外の体の不調も改善されていたという記録が残された。また投与されたツムグの細胞も死体を変異させず死体の中に僅かに残っている程度で治療の過程で消耗してツムグの細胞が消滅することが分かった。つまり酷い怪我や重い病気の体になら本物のG細胞と違い体内に残らないのだ。
結論として、怪獣並みの生命力がなければ医療目的に椎堂ツムグの細胞は使えないということが分かった。人間の細胞と融合した純粋じゃないG細胞とはいえ、そのパワーは凄まじくただの人間はおろか、ミュータントでも健康体になる代償に即死してしまう。隅々まで健康な死体…、まったく嬉しくない。
生物の細胞は、それ一つ一つが大なり小なりパワーを持っている。そのパワーの強さは個体により違うが、例えば電気ナマズや電気ウナギなどのように自らの体で放電という凄まじい現象を武器にするような体と細胞の並び方を持つ生物がいるが、彼らの放電は命をかけた武器である、つまり多用できない。それに比べて怪獣ともなるとデンキナマズなどが命がけで行う放電も息をするように簡単に行う。怪獣と普通の生物では、細胞のパワーが違いすぎることの表れだ。
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