第一話 再結成・地球防衛軍
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トも起こってないのに真っ先にスープになっちゃダメでしょうが。」
ツムグは、床に倒れている尾崎の傍に腰を落として、その頭に軽く空手チョップを何度もお見舞いした。
そして尾崎の耳に口を寄せて。
「美雪ちゃんが泣くよ?」
そう囁かれた途端、尾崎は、ガバッと物凄い速さで起き上がった。
「そうそう、まだ尾崎は死んじゃダメ。かといって使徒に取り込まれちゃうのもダメだから。」
ツムグは、じろりと初号機の方を見た。
シンジの姿を借りてる初号機は、向かいの席の傍らで両手両膝をついて蹲っていた。
『どうして?』
悲しそうに寂しそう言った。
『どうして一つになってくれないの? お兄ちゃん、ボクのこと嫌い? ボク、お兄ちゃんと一緒にいたいだけなのに…。』
「方法がダメ。あかん。嫌がってる相手を無理やり連れて行こうとしたら嫌われるのは当たり前だって。」
ツムグは、ズバズバと初号機にダメ出しをする。
『だって…、お兄ちゃんは、特別だから、きっと寂しいって思ったから。』
「あのな…。尾崎は、全然そんなこと思ってないから。勝手に自分の思い込みを押し付けるんじゃないって。」
『嘘だ…。』
「いい加減、おまえは本体の方へ帰れ。シンジを媒介にして尾崎に会いに来たまではいいが、このままじゃシンジが起きれない。だから、か・え・れ!」
ツムグが初号機の頭を掴みそのまま持ち上げ、電車の窓に向って放り投げた。
『わあああ!』
初号機の悲鳴と共に世界が壊れた。
そして現実。
「う…。」
「あ、起きた。」
「尾崎! 大丈夫か!?」
「早くベットで寝かせてやってよ。命に別条はないよ。…たぶん。」
「たぶんって…、不安になるようなことを言うな、G細胞完全適応者! 誰か搬送用ストレッチャーを持ってきてくれ!」
ぐったりしている尾崎は、治療室に搬送されていった。
残された椎堂ツムグは、尾崎が運ばれていったのを見届けた後、スヤスヤと安らかな寝顔で眠るシンジの方を見た。
そっと手を伸ばし、柔らかい黒髪を撫で、ツムグは柔らかい笑みを浮かべた。
「もうあんな粗悪なオモチャに乗らなくったっていいんだぞ? おまえのこと捨てた父親にこだわることはもう必要ない。ここにいればみんな優しくしてくれるさ。おまえは、一人じゃない。目が覚めたらたっぷりそのことを教えてやる。教えてもらえる。それまでゆっくりお休み。」
そう言って、ツムグは、病室から出て行った。
その頃、ネルフでは。
「…初号機、沈黙。」
「シンクロ率がゼロになりました。」
「一体なんだってんでしょうか? 先輩…。」
「ごめんなさい、私にも分からないわ…。あとで初号機を調べてみましょう。」
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