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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
42話:爵位継承
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かなり焦っている様子だった。そりゃ次期政府首班と心温まるやりとりが急に始まれば、遮るわけにもいかないし判断に困るだろう。真っ当な反応だ。

「陛下には幼少から親しくして頂きましたが、軍部系貴族や辺境領主とのパイプと誤解される事が無いように、内密にしておりました。ご心配をおかけしました」

俺がそう言うと、うむ。とは返事をするが、まだどう振る舞えばいいのか判断に困っている様だ。そんな状況を見かねたのか、いたずら心をくすぐられたのか......。

「してザイ坊よ。仲間内の呼び名はそちが付けるのが決まり事であったはず。リューデリッツ伯の呼び名は何とする?」

などと言ってきた。さすがに義祖父上のあだ名を本人の前でいうのはなあ。まあ勅命だし仕方ない。

「兄貴、無遠慮に付けるなら『理屈だおれ』だけど、俺を見込んで婿にしてくれたからね。『名文家』あたりで手を打ちたい所だけど......」

すると兄貴も叔父貴も上機嫌で笑い出した。義祖父上もようやく気がほぐれたようだ。名文家か、悪くはないか......。などと呟いている。そんな歓談を短い時間だったが楽しんだ。今回の謁見は、当主交代の事前挨拶の様なものだ。来月から正式に伯爵家の当主になる。
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