42話:爵位継承
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頂戴したいのは、アルテナ星域に門閥貴族が建設している要塞に関してです。事業費も巨額に上ります。起工理由も皇族とのご婚約ですので、通常より結納金を増やすべきか判断に迷っているので、参考までにご意見を頂戴できればと思いまして」
「陛下、この方が将来の政府首班ですか?叛乱軍にとっては慶事でしょうな。火中の栗を拾う気がないなら、自領でお茶でも飲んでいれば良いと存じます」
一旦言葉を区切って、狐顔に視線を向けて話を続ける。
「アルテナ星域は首都星オーディンとフェザーンの航路となります。近々で帝国の国防に役に立つ場所ではありません。軍人でなくとも帝国で重きをなす方ならお分かりでございましょう。陛下もあの件は自分たちでやるなら好きにせよとのご判断だったはず。つまり要塞建設の件は本来なら考慮に値しないものです。それを考慮しようとはどのようなご判断なのか?あの方々に恩を売るための予算の出どころはどこでしょう?陛下が即位されてから増額された戦死傷者年金からでしょうか?軍部の予算から?もしくは増税ですかな?帝国臣民と軍部にとっては明るい未来となりそうですね」
そこまでいうと兄貴が笑い出した。
「リヒテンラーデよ。軍部系貴族の政府への採点はかなり厳しいという事じゃ。政府首班の役目もかなり励まねばならぬという事じゃな」
「失礼いたしました。陛下がこのような場を設けられたという事は、自己紹介をしておけとのご配慮と判断いたしました。長いお付き合いになるでしょうから、誤解のないように自己紹介させて頂きました」
「ただな、ザイトリッツよ。アルテナ星域に要塞を造るという事は、帝国のメイン航路を押さえられたようなものだ。政府の立場からすると、少しでも配慮すべきかと迷う案件でもある。あまりリヒテンラーデをいじめぬようにな」
そういうと狐顔に目配せをする。狐顔は一礼して退室していった。
「それにしてもザイ坊よ。そちは相変わらずじゃな。面白い見世物を見せてくれるものよ。息災なようで良かった。いよいよリューデリッツ伯か。さすがに以前の3男坊だからと好き勝手していたようにはいかぬぞ。心配はいらぬと思うが、念のためな」
「承知しているよ、兄貴。ただでさえ義祖父上は歴史の教科書に載るだろうから、後継としては頭が痛いって控えの間でも話していたんだよ」
雰囲気が一気に変わったことに当代のリューデリッツ伯がついてこれていないことに気づいたのか
「余とザイトリッツはまだ殿下だったころからお忍びで一緒に宴を重ねた仲じゃ。余人がおらぬ非公式な場ではこういうやりとりを楽しんでおるのだ」
とニコニコしている。
「左様でございましたか、いささか急なお話で驚いておりました」
俺は横目で見ていたが義祖父上は狐顔との自己紹介が始まったあたりから
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