第一章
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聖母の神
エルキュール=ドナーは表向きはある巨大な宗教団体において聖職者達からも慕われる聖母として知られている。
そして裏では悪と戦うガイアの首領としても知られている、そんな彼女はいつも神をあてにしてはならないと裏にいる時は言っている。
だがある日だ、彼女のその言葉に若い組織の者、まだ青年と言っていい年齢である彼が尋ねた。
「あの、エルキュール様にお聞きしたいのですが」
「何でしょうか」
微笑んでだ、エルキュールは青年に応えた。
「一体」
「はい、失礼な質問かも知れないですが」
「失礼ではありません」
そこは断った彼だった。
「ですから遠慮なくです」
「聞いて宜しいのですね」
「どうぞ」
これがエルキュールの返事だった、いつも通り微笑んでのものであった。
「お話して下さい」
「それでは。エルキュール様は神にお仕えしていますね」
「そうです。そもそもガイアを創設したこともです」
「神に背く様な邪悪な輩を滅ぼす為ですね」
「この世には許してはならない者がいることも事実なので」
「だからですね」
「はい、私はガイアを創設してです」
そのうえでとだ、エルキュールは青年に話した。話しているうちに彼に紅茶と菓子それにテーブルを出してそのうえで共に飲んでいる。
「務めているのです」
「ですがそれでもですね」
「神はあてにならないとですね」
「どうして言われるのか」
エルキュールの神への信仰は明らかだ、それが為にガイアを創設もしている。
しかしだ、それでもというのだ。
「それがわからないのです」
「はい、そのことはです」
まさにとだ、エルキュールは青年に自分から答えた。
「矛盾していません」
「そうですか」
「まず神の存在は否定しません」
それはというのだ。
「私にとってそれは愚かなことです」
「神の存在を否定することは」
「果たしてこの世は人のみで動かせるか」
「そう考えるとですね」
「それでは説明出来ないことも多いですね」
「多くの奇蹟があり」
そしてとだ、青年も答えた。
「そうして世界は生まれ」
「私達も生きていますね」
「私もそう考えます」
「私もです」
エルキュールも然りだった。
「その様に考えています」
「左様ですね」
「はい、しかし」
「それでもですか」
「神は自らを助ける者を助けて下さいます」
よく言われる言葉をだ、エルキュールはここで出した。
「そうですね」
「その言葉ですか」
「そうです、私が思い言うことばです」
その神はあてにならないという言葉はというのだ。
「この言葉なのです」
「神に頼らずですね」
「まず自分で全力を尽くすことです」
「ガイアでの仕事について」
「そし
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