第七十一話
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第七十一話 夜になり
その日の夜になりだ、カーミラは日が暮れる前に自身の使い魔達に対して一杯のワインを飲んでから優雅に答えた。
「では行くわよ」
「はい、これよりですね」
「会に向かわれますね」
「そうされますね」
「そうするわ。そして夕食は」
それの話もするのだった。
「後よ」
「宴の後ですね」
「宴が終わってから」
「それからですね」
「楽しむわ。こうした楽しみは一瞬で終わる刹那なもの」
カーミラは使い魔達に立ち上がりつつ優雅に述べた。
「そしてその刹那なものが」
「永遠に残る」
「その心にですね」
「それも楽しみとして」
「だからいいのよ。それ故に」
これからと言うのだ。
「行くわよ。そしてその後で」
「夕食を召し上がられ」
「そしてですね」
「お風呂もですね」
「楽しむわ。思えば流れる水も」
吸血鬼は水が苦手という、だがそれはというのだ。
「心地よいものね」
「そしてご入浴も」
「カーミラ様にとっては」
「私はそうした吸血鬼よ」
日中も出られて流れる水も楽しめるというのだ。
「ごく普通にね」
「左様ですね」
「物語の吸血鬼とは違いますね」
「そこは」
「違うわ。私は本物の吸血鬼よ」
それ故にというのだ。
「だからこそそうしたものは弱点ではないわ」
「そして大蒜も」
「そちらもですね」
「全くね。そして二人もね」
これから戦う二人もというのだ。
「わかっているわ、だからこそね」
「面白い宴となる」
「左様ですね」
「最高の宴には相応しい相手が必要よ」
こう言ってだった、カーミラは出陣した。そしてだった。
「皆で行きましょう」
「お供致します」
全ての使い魔達が応えた、そうして屋敷を後にするのだった。
第七十一話 完
2018・7・18
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