第二章
第24話 矛盾
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狙いとしては、あの遺跡は国王を奇病で殺す力がある。あの遺跡は呪われている。あれは二度と触れてはいけないものだ――そのような流れを作りたかったのだと思います」
「なるほど。その可能性はありそうだ」
「つまり、その勢力にとっては、あの遺跡をこの国に発掘されると非常に都合が悪い。でも、まともな手段で阻止できるほど自勢力は大きくない。だからあんなやり方を取ったのかなと」
「自然な推理だと思う。まったく異議がない」
今話したことは、そこまで間違ってはいないと思っている。
もちろん本来であれば、このようなことは一般人の立場である俺が考えることではない。
しかし、あの遺跡の正体が俺の時代の遺物であることがわかった以上、その発掘を阻止しようとする勢力について考えることは、意味があるような気がしている。
俺が過去に帰るためのヒントになる可能性があるからだ。
「はい。ここまでは俺も目立った問題点はないと思うのです」
「では何が問題なのだ?」
「あの暗殺者に対し、初っ端から俺は拳銃の所持を指摘しました。そうなると、その時点でもう奇病に見せかけるということはできなくなりますよね」
「そうだな」
「なのにあの暗殺者は『じゃあ堂々と』などと言い、あくまでも暗殺を遂行しようとしてきました。拳銃を指摘された時点で計画は崩壊なわけですから、暗殺は諦めて逃げるべきだったんじゃないかなと。そのあたりが少し謎で」
「それで悩んでいたのか?」
「はい」
「別に矛盾はしていないのではないか?」
「そうですかね?」
「余が死んだ場合、次代を誰にするかというのは決まっていない。だからあの状況からでも、余を殺せばやはり国に混乱は起きただろうな。発掘調査も一〜二年止まったかもしれない。その間にゆっくり次の策を考えたらいい。『ベスト』がダメなら『無』ではなくて『ベター』を選ぶ。それは当然の話だと思うぞ?」
――なるほど。
ベストよりベター。俺の時代でも聞いたことがあるような言葉だ。
最初から、イレギュラーな事態になろうとも暗殺は実行するという計画になっていて、あの暗殺者はその通りにやった――それだけのことなのかもしれない。
「そうか……。別に悩むほどのことではなかったですね」
「ああ。でもお前の考察はなかなかよさそうだ。首都に帰ったら、今回の事件について考えたことを全部まとめて報告書を出してくれ」
課題を出されてしまった。
大学のレポートみたいな感じでいいのだろうか?
しかし、ウィキペディアのコピペができない題材だ。パソコンもないから手書きになる。
――困った。
帰ってから、爺にでも書き方を聞こう。
「でも、あの暗殺者は帰ってからが大変でしょうね。陛下の暗殺に失敗しましたし、そのうえ拳銃の所持もこちら
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