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殺しはしない
第一章

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               殺しはしない
 失物奪を追っている者達がいた、それは退魔師達であり彼等は事故を装い人の身体の一部を奪っていく奪を追っていた。
 しかしだ、その中でだった。
 彼等はあることに気付いた、それで本拠地で話をした。
「身体の一部は奪うが」
「命に関わるまではしない」
「そうした場所は少しずつ奪ってだ」
「そのうえで自分のものとしていっている」
「それでもな」
「殺しはしない」
 それでもというのだ。
「命まで奪わない」
「何があっても」
「許されないことをしている」 
 他人の身体を奪う、それはどうあっても許されないことだ。それが為に彼等は奪を追って彼を止めようとしているのだ。
 しかしだ、奪は命まではなのだ。
「命は奪わないのはな」
「彼のポリシーか」
「身体の一部は奪うが命は奪わない」
「そこまではか」
「それはまだ救いだ」
 まさにと言う、しかしだった。
 奪は奪い続けていた、そのうえで。
 身体の一部を戻し続けていた、他の者から奪いながら。だからこそ退魔師達は彼を追っているのだが。
 その中で奪に出会った、彼等はここで奪に問うた。
「御前は何故人を殺さない」
「身体は奪うが命を奪わないのは何故だ」
「何故そこまでしない」
「命を奪う程度までしないのはどうしてだ」
「俺は蘇りたいんだ」
 奪は今の身体で退魔師達に答えた。
「そしてまただ」
「人間の生活を送るのか」
「そうしたいのか」
「これからは」
「そうしたいのか」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「どうして人の命まで」
「若しもだ」
 退魔師の一人が奪に言った。
「すぐに甦りたいならだ」
「その時はか」
「そうだ、一人の命を奪ってだ」
 そのうえでというのだ。
「その身体を奪ってだ」
「そうしてだな」
「生きればいい、しかしか」
「俺はわかっている」
 まさにとだ、奪は凄まじい形相になりそのうえで退魔師達に告げた。
「自分が罪を犯していることをな」
「わかっていてか」
「そうだ、そしてだ」
 そのうえでというのだ。
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