第二章
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そして自分の夕食を軽く作って食べた、野菜炒めと玉葱の味噌汁だ。それに白い御飯と梅干を食べていた。
そうしつつだ、スマホが鳴ったので出た。音楽はドボルザークの新世界よりの第四楽章だ。出る時に相手のチェックもしてこう聞いた。
「どうしたの?」
「いや、元気かなって思ってね」
「元気よ」
瑞樹は相手に素っ気なく返した。
「病気一つしていないわ」
「それは何よりだよ」
「ええ、ただね」
「僕がいないからだね」
「全く、結婚したのに」
「いやあ、いきなり海外に転勤とかね」
「ベルリンにね」
ドイツの首都、そして欧州の中でも重要な街の一つだ。
「森鴎外みたいね」
「あの人は留学だったけれどね」
「四年ね」
「長いよね」
「そうね、もう貴方が行って四年よ」
「悪いね」
「仕方ないわ、お仕事だから」
結婚してすぐに海外に転勤となったこともというのだ。
「だからいいわ」
「そう言ってくれるんだ」
「そうよ、それでもあと少しね」
その四年もというのだ。
「だから待ってるわ、あと猫もいるから」
「家族も増えたしね」
「貴方が行ってからね」
最近のことであった、猫は瑞樹の傍のクッションの上で丸くなって今にも寝ようとしている。
「大家さんもいてくれてるし」
「それでだね」
「何とか寂しくなくやっていけてるわ」
「じゃあ僕が帰るまで」
「待っているから」
「そうしてね」
「ええ、じゃあね」
「うん、ただ君は今もさばさばしているね」
相手、夫は瑞樹のこのことについても言及した。
「そこは変わらないね」
「外見も変わらないわよ」
「スマホで送ってくれる画像見たらそうだしね」
「修正はしてないから」
「そうだね、じゃあいよいよ日本に帰るから」
「楽しみにしているわ」
やはりさばさばとして答える瑞樹だった、そのうえでだった。
夫がスマホを切ると後は食事に戻った、そうして後片付けをしてからお風呂に入って歯を磨いて寝た。夜早いが特にすることもなかったので寝た、朝は極めて不機嫌ながらも起きて簡単な朝食を食べてから出勤した、そんな瑞樹のプライベートだが誰も知らなかった。極めて普通のものということも。アラサーであることを話していたが実は海外赴任をしている夫そして猫が家族にいて大家さんとも親しいことを。
アラサー女の家族 完
2018・9・23
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