運命の分かれ目
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短剣が引き抜かれると、どくどくと血が溢れだし、スキルドはその場に崩れ落ちた。
「チェント…を……返……」
彼の伸ばした手は、私には届かない。
ガイは、勝負はついたとばかりに、スキルドに背を向けた。
何事もなかったように、私を担ぎ上げ、馬の背に括り付ける。
私は、必死に叫んだ。
助けて! 誰か助けて!
口を塞がれていたのは、幸いだったのかもしれない。
自分を助けに来て、死ぬかもしれない傷を負った青年を無視して、己の身ばかりを優先する私の、その身勝手な悲鳴は、スキルドにはとても聞かせられない。
そんな悲鳴は、天に届くわけもなく、馬は走り出した。
遥か遠い地を目指して。
あの時、フェアルス姫達との出会いがなかったら。
あの時、兄がベスフルの戦いに赴くことがなかったら。
今も私は、スキルドの隣で、身勝手な自分を自覚せず、生き続けていたのだろうか?
考えずにはいられない。
このたった1つの偶然は、私の運命を大きく変えてしまったのである。
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