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Evil Revenger 復讐の女魔導士
運命の分かれ目
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 その言葉が決め手となり、彼女は、兄にすべてを任せることを告げたのだった。
 兄は、その時すでに、何の決断も下せない、姫の性格を見抜いていたようだった。
 きっと今も彼女は、自分の責務から、逃げたがっているに違いない。
 いっそ、兄が王位を継いでくれれば、とすら思っているかもしれない。
「兄さんは、戦いを続けるつもりなんだね」
 両親の仇を討つため、フェアルス姫の権威を利用してでも、戦い続けるつもりなのだろう。
 それから、スキルドは、私と他愛のない話を続けた後、部屋に戻っていった。

 その翌日。
 朝方、部屋の扉が叩かれたのを聴き、私はスキルドの来訪を予測して戸を開けると、そこには違う姿があった。
 スキルドより、そして、兄よりも大きい身長に驚く。
 その男は、ベスフル兵団の小隊長の1人、名前は確か、ガイといった。
 筋骨隆々とした体つきに、強面で禿頭の男。目の前に黙って立たれただけで、恐ろしい容姿をしていた。
 恐れ、戸惑う私に、彼が言った。
「ヴィレント殿の妹君、チェント殿ですな? 兄上がお呼びです。付いて来てください」
 兄さんが、今更、私なんかに何の用だろう?
 不思議に思ったが、そもそも、兄の考えていることなど、前からわからない。
 それよりも、逆らえば、また兄に殴られるかも、という恐怖が、黙って私を従わせた。
 歩いていくガイの後ろを、黙って付いていった。
 歩幅が違うせいか、ゆっくり歩くと、置いて行かれそうになる。
 兄の怒りを買いたくないがため、私は速足で追いかけた。
 そういえば、彼は、砦のやり取りでも、兄に賛同していた数少ない人物であったことを思い出す。
「この臆病者共め! 国王陛下への恩義があるなら、今すぐ、ベスフル城奪還のために兵を挙げるべきであろう!」
 そうやって、他の小隊長たちを怒鳴りつけたのを、覚えている。
 この短い間に、使い走りを頼むほど、仲が良くなったのだろうか?
 彼に限らず、城の兵たちの間では、兄を称賛、支持する声が、飛び交うようになっていた。
 戦場などにまるで縁のなかった私には、兄の成しえたことの凄さは、いまいち実感できていない。
 そんなことを考えながら歩いといると、気が付けば、城の外へ出ていた。
 こんな場所で兄が待っているのだろうか?
 私がきょとんとしていると、次の瞬間、私は口を塞がれ、喉元に短剣を押し付けられていた。
「!?」
 私には、一瞬、何が起きたのかわからなかった。
「声を出すな」
 ガイの声。いつの間にか背中に回り込まれて、動きを封じられている。
「怪我をしたくなかったら、おとなしくしろ」
 恐怖で体が動かなかった。
 私は、布で口を塞がれ、縄で後ろ手をきつく縛られた。
 小柄な私は、ガイの片手で軽々と担がれて、
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