インテグラル・ファクター編
悪夢のボス
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グデータを渡す。
「渡した条件だ。あんた達だけでボスには挑まないでくれ。生半可なボスじゃない」
それに返事をせず、コーバッツは休んでいた部下を立たせる。 そのまま、ボス部屋の方へと向かっていった。部下たちが一人一人安全地帯から抜けていく中、コーバッツが止まる。
「それを判断するのは、私だ」
そう言うと、軍は安全地帯を抜けて行った。この様子だとほぼ確実にボスの部屋に乗り込むだろうな。いくら相手が軍であっても放ってはおけない。
俺達も安全地帯を抜けてボスの部屋に向かっていった。
「あれ?いない?……」
「軍の奴らここにいないなら戻ったんじゃね?」
「……かもな。ならいいんだけど」
俺達も迷宮区の出口に向かって歩き出した、その時だった
「うわあああぁぁぁ」
小さくだが確かに聞こえた。
これは、悲鳴だ。
「馬鹿がっ」
俺は舌打ちして駆け出す。キリト達も走ってついて来てくれた。
あいつら、やっぱり攻略しに入ってやがった。 登っていくにつれ、イレギュラーが増している最近に、しかもボス戦だ。1年以上ボス攻略に参加していない《軍》だけで太刀打ちできるわけがない。
やっぱり、無理やりにでも止めておくべきだったんだ。
後悔しながら辿り着いたボスの部屋前。 開いていた扉の向こうでは、悲惨な光景があった。 もう、陣形も何もない。体力ゲージは赤かオレンジで、端で震えている者すらいる。それでもなお突撃しろと叫ぶコーバッツ。明らかに、人数が減っていた。 入ってしまえばボスを倒すまで扉をくぐることは出来ない。だが、転移結晶は使えるはずだ。なら、まだ助かる。
「何してるっ転移結晶を使え!!」
「無理だ……。転移結晶が使えなかったんだ……」
「何!?」
「《結晶無効化空間》か、くそっ」
キリトも舌打ちする。
結晶無効化空間。噂で聞いたことがあったが、まさかここもだったとは。転移結晶が使えなければ、もうボスを倒すほか脱出は出来ない。
だが、唯一の脱出手段であるボス攻略が出来るのならば、こんなことにはなっていない。
「ぎゃあああああああああああああああ」
悲鳴、悲鳴、悲鳴。
さっきから、コーバッツの声以外は悲鳴しか聞こえてこなかった。HPが赤いプレイヤーは、おそらく一撃食らえば死ぬだろう。 助けたくても今のこの状況では逆に自分が危険に晒される可能性が高い。そう、戦力が足りないのだ。軍を含む――いや、軍の連中は戦意喪失しているので実質五人(俺、コハル、キリト、アスナ、クライン。他の風林火山メンバーは軍の安全確保の為数に含めない)では時間稼ぎ程度にしかならない。そして時間稼ぎをしてもその後自分たちはどうするかとなってしまう。
「だめ……」
「アスナ?」
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