第二章
第23話 告白
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。
が……。
その前にまず、国王に俺の素性の話をしたほうがスムーズな気がする。
「次はあの黒服男の武器についてなのですが。その前に、陛下に俺の出身国をお伝えしておいたほうがいいと思うので、そこから話しますね」
「お前の出身国? 西の国のどこかではないのか?」
この反応を見ると、やはり国王は、俺のことを西の国の出身だと思っていたようである。
「西の国ではありません。もちろん北の国でもありません」
「どういうことだ?」
「俺は半年ほど前、崖から落ちて意識を失い、目が覚めたらこの国にいたんです」
「……!」
「地図を見ると、この国の形は、俺のいた国とよく似ていました。でも中身は全然違っていて、町や都市も知らない名前ばかりだったんです。
なので、どこか別の世界の、地形がよく似ている国なのかな? というところで考えが止まっていて、ずっと謎のままでした。でも今回、あの遺跡に行って、やっと真相が判明したんです」
「……どうだったのだ?」
「どうやら、俺は今からずっと昔……最低でも千年前のこの国から、タイムワープで来たようです」
国王の顔色が、一瞬で変化するのがわかった。
「……なん……だと? 何の冗談だ……?」
「ほう。そういうことだったのか……」
国王は目を見開いて驚いている。初耳だろうから当然か。
女将軍のほうも驚いた表情ではあるが、彼女の場合、俺が転移者という事実はすでに知っているため、若干の納得の様子もうかがえる。
「もちろん、冗談ではないですよ」
「そ、そうか……。確かに……冗談を言っているようには見えぬが……。遺跡でその証拠を発見したということなのか?」
「はい。あの遺跡は、俺がいた時代に造られたものです。あれは『さいたまスーパーアリーナ』という施設の成れの果てです。復元図で特有の形を確認しましたので、間違いありません。あれは格闘技などのイベントを開催するための競技場で、俺も何度か行ったことがありました」
俺は続けた。
「国土の形がそっくりであること、そして知っている施設が遺跡となっていること。あとは、この国の人が日本語を話していることもそうでしょうか。未来に転移したという確信を持つには十分な材料が揃いました。間違いないと思います」
「そうか……」
国王は下を向く。
気持ちを整理しているのだろう。
「……そうなのか……。リクは……古代人だったのか……」
もちろん、わかった事実を伝えただけのことである。
だが俺の中で、国王に対してこの事実を伝えてしまったことに、謎の罪悪感がある。なぜだろう。自分の感情のことなのに、よくわからなかった。
国王の様子を見て、少し間を取ったほうがよいと判断し、俺は休憩を提案した。
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