ソードアート・オンライン〜剣の世界〜
3章 穏やかな日々
23話 将来の旦那さん?Part3
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ツカサの顔が、少しだけ先ほどよりも影を帯びる。かまわずミカは続ける。
「だけど、ツカサにそういう顔をさせるほうが嫌だ」
ミカの言っている意味が分からないのか、ツカサは少しだけ首を傾げた。ミカはやっと体に力が戻ってきたことを確認すると、上半身だけ起こす。だが、ツカサの瞳は直視できずに目はそらした。
「私ね、ヘッドの命令でここに潜り込んだんだ。オールラウンダーがここの教会に出入りしてるっていう情報をつかんだから。それで、潜りやすいからって理由で、まだ子供の私が抜擢された。でも、私はその命令の本当の意味を知ってる。だって、私のレベルじゃ、絶対にあの女は殺せない。あの人は、私があの女に殺されることをわかっていかせた。…つまり、もう私は用済みってこと。まあ、父さんも死んだしね。確かに憎かったけど、別にこれで死ぬなら死ぬでよかった」
「でもね、軍の連中につかまったとき、ツカサが圧倒的な強さでやつらを蹴散らして、私を助け出してくれた時、ああ、やっと私は報われたんだって、少し思っちゃった。母さんから虐待されて、父さんが殺されて、そしてこれから死にに行く任務も。全部この瞬間のための試練じゃないかって思った。私にも、やっと白馬の王子様が現れたんだって。…だから、嬉しかった。最後に、少しだけでも幸せな気分を味合わせてもらったから。あの女の仲間だとしてもね」
長い説明を終え、ミカは深く息を吸った。決心を決め、ミカは目を上げ、ツカサの瞳をまっすぐに見る。
「すっごく好きだよ、ツカサ」
「っ…」
今度はツカサがミカの瞳を見ていられなくなり、目をそらした。今のツカサにとってあまりにも純粋で真っすぐな瞳は、見ているとその視線で目が焼けるようだ。
そんなツカサを見て、ミカはクスッと笑った。
「そんな顔しないで。私だってちゃんと立場をわきまえてる。…ツカサがあの女のことを誰よりも大切に思ってるってことぐらい、わかる。…そうでしょ?」
「…ああ…俺は、生涯隣にいるのは、リアだけだと思ってる…でも、君のことは…っ!」
「っ、やめてよっ!」
落ち着いて話していたミカがいきなり声を荒らげ、ツカサのミカに伸ばしかけた手がびくっと止まる。前髪の間から涙に潤んだ瞳が、わずかばかりの殺気をもってツカサをにらんでいた。
「やめてよ…切り捨てるなら切り捨てるではっきりして。それ以上の優しい言葉をかけないでよ。…じゃないと、また嬉しくなっちゃうじゃん…!」
「ッ………ミカ…」
ミカの瞳から盛り上がり、とどめきれなかった涙がミカの頬を伝う。ツカサは、触れることも、言葉をかけることもできず、ただミカの名を呼ぶことしかできなかった。だが、すぐにミカは濡れた顔で笑って見せた。
「だから、ね。最後に、お願いがあるんだ。
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