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3章 穏やかな日々
23話 将来の旦那さん?Part3
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、横に振る動作をさせる。リア本人にはメニューウィンドウが見えているだろうが、他人の目からは見えない。だが、見えなくてもそこには確実に表示されている。少女は何度も練習した手順で、体で覚えた場所を数回タップさせる。すると、少女とリアの頭の上にカウントダウンが表示された。


 そう、これはデュエルのカウントダウンだ。


 徐々に減っていく数字。


 少女のその手に握られている大ぶりで、与えるダメージが大きくなるように刃に棘のようなものが生えているダガーは、紫色の粘膜を纏い、冷たい光を放っていた。

 



 そして…


 カウントがゼロになった瞬間、リアの体には、短剣9連撃斬撃技アクセル・レイド叩き込まれた。


 短剣のソードスキルでは、かなり上位のスキルだ。だが、攻撃はリアのHPを1割程度削るのみ。しかも、少女が硬直している間にもみるみるうちに回復し、あっという間に全快になる。しかも、短剣に付与しているはずのレベル3の毒も効いていない。

 少女の瞳は恐怖で大きく見開いた。だが、続けざまにソードスキルを放とうとする。

 しかし、いつの間にか少女は自分の視界が回転していることに気が付いた。そして、強烈な衝撃とともに床にたたきつけられ、右手の短剣は金属音を立てて部屋の隅に転がった。


「まったく、こんな方法で私を殺せるとでも思ったの?ミカ」

 右耳のすぐ横で低めの澄んだ声がする。あとで知ったことだが、彼女の体は柔道技の袈裟固(けさがため)をかけられていて動けなかった。

 胸の上にかかる圧迫感を感じながら、少女…ミカは奥歯をギリッと噛み締めた。


「うる…さい!」

 リアの腕から逃れようと足をじたばたさせるが、まったく起き上がれない。

「君の筋力値じゃ動けないよ。残念だけど」

 わずか距離15pほどにあるリアの端正な顔は、気味が悪いほどにまったくの無表情だった。

「だまれ、この人殺し…!」

 ミカはかすれた声で叫んだ。わずかに、リアの瞳に感情が宿ったような気がするが、それが何かはミカにはわからなかった。

「父さんはラフコフなんかに入りたくなかったのに…!無理やり入らされてただけなのに…!父さんを殺しやがって…この悪魔!人でなし!」

 ミカは目頭が熱くなり、熱いものがこみあげてくるのを感じた。涙がこぼれないようにするのに必死だ。

「だからヘッドに言われてこうしてお前を殺しに来たんだ!」
 だが…
「…ふぅん」
 
 罵倒されていることに対しての怒りを表すのでもなく、こうしてかすれ声で叫んでいるミカに対しての嘲りを表すのでもなく。ただ一言、そういっただけだった。リアの態度が、ミカの神経を逆なでする。

「なにがふぅん、だ!
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