第3章 リーザス陥落
第111話 ノスの断罪
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を返し、足早にユーリに近づくのはクルック―。
そして、セルの止まった時を動かしたのもクルック―だった。
「ク、クルック―さん! その人は……」
手を伸ばし、止めようとするセル。
そして、いつもは感情に乏しい面があり、何より相手の心情を、そこまで把握する様な事はしないクルック―だったが、セルの言わんとする事が、このやり取りだけで判った様だ。
「セルさんの方が正しいと思います。……ですが、私はユーリを信じてますので」
クルック―の言葉も少ない。
ただそれだけ。それだけの理由だった。
だが、セルの目には、クルック―はただ盲目にユーリの事を信じているだけの様には見えなかった。
「すまん」
「いえ。ユーリの判断を信じます」
クルックーは、手を翳しヒーリングを唱えた。
「……今、必要な事なのですね」
「はい。きっと必要な事だと私は思ってます。……それに、この魔人サテラが今後、人間の脅威になるとは思えません。……なったとしても、その時はユーリに責任を取って頂きますので」
「手厳しいな。いや、……任せろ。だから、今は、今だけは頼む」
ユーリは立ち上がり、剣を握りしめた。
敵はノスだけじゃない。ノスが生み出した無数の死複製戦士達もいる。仲間達がどうにか持ちこたえているが、敵の数が圧倒的に多いのだ。
その骸の戦士達は、ノスが健在である限り、無限に現れるだろう。ならば、ユーリが取る行動はただ1つだけだった。
戦塵が巻き上がり、このリーザス城そのものを揺らす程の衝撃が起こる。
シーザーとイシスの攻撃を難なく防ぎ、その巨大な拳を幾度となく振り下ろし、硬いガーディアンの身体を穴だらけにしていた。
だが、運動機能はまだまだ失っていない様で、怯む気配は見せないがそれも時間の問題だと言えるだろう。
「あいつら……。流石にきついか」
時間にして数10秒。1分に満たない程の攻防。身体の機能は徐々に削がれ、動かない部位も増えてくる。それでも攻める事を止めないシーザーとイシス。
「―――いい加減に、滅するがいい!」
頑丈さだけは優れている故にか、ノスにも苛立ちが出てきていた。たった数10秒の攻防の中ででも、着実に追い詰めているのだが、上級魔人であるノスのプライドに触ったのだろう。
全てを粉砕する一撃を拳に込めて振り抜こうとした。
「ぬぇいッ!!」
「ッッ!!」
だが、シーザーとイシスの間に割って入る影があった。その姿は ガーディアンである2人やノスにも引けを取らない体躯を持つ男トーマ・リプトン。
「ぬぐっ……!!」
如何に人類最強とも称されていた男とは言え、魔人ノスの一撃。
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