第十一話 退く中でその七
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「髑髏を供養に使ってもな」
「金箔を塗って飾ってなぞ」
「何かに使っておったのは間違いないが」
「その何かがですか」
「左道でなければじゃ」
それこそというのだ。
「他には思い付かぬわ」
「左様ですか」
「お主はどう思うか」
「拙者は左道は全く知りませぬ」
信長より遥かにとだ、長政は素直に答えた。
「そうしたものはないとさえです」
「思っておったか」
「そうした頃もありました、古書を読むと多く出るので」
「ないとはじゃな」
「思わなくなりました、しかし」
それでもとだ、長政は言うのだった。
「まさかそれが」
「お主に関わるとはじゃな」
「父上にかけられるとは」
到底と言うのだった。
「思いませんでした」
「拙者もじゃ、勘十郎の時はな」
「まさかとはですか」
「思わなかった、それでじゃ」
だからと言うのだった。
「この度のことはな」
「余計にですか」
「うむ、それでじゃが」
「この度のことは」
「お主に聞いたがな」
「はい、それはです」
長政は毅然として答えた。
「全くです」
「黄金の髑髏も知らなかったか」
「父上が急に変わられて家臣の者達と共に戸惑っていました」
そうだったというのだ。
「何故かと。しかし」
「それはか」
「どうしてかわかりませなんだ」
「しかし今言った通りでな」
「左道ですな」
「それがかかっていました。では」
「この度関わっていたと思われる者達はな」
久政を惑わしていたと思われる者達はというのだ。
「探していこう」
「それでは」
「お主にはこのことも頼む」
「わかり申した」
是非にとだ、こう言ってだった。
再び自身を助ける立場になった長政と浅井家の家臣達にそのことも話した、こうして織田家は越前を手に入れるだけでなく浅井家を前よりも結びつきを強くしたことによって近江も完全に手中に収めることになった。
このことについてだ、竹中は小寺に話した。
「この度越前も近江も手に入れました」
「朝倉家を降し浅井家を迎え入れてな」
「このことはです」
まさにと言うのだった。
「非常にです」
「当家にとって大きいな」
「はい」
こう小寺に言うのだった。
「若し他の家との戦があれば」
「浅井家、朝倉家といがみ合ったままではな」
「そちらにも力を向けねばならず」
「中々じゃな」
「他の家に全力を注げません」
そうした状況になるというのだ。
「ですから」
「確かにのう。ここでな」
「両家と越前、近江を穏やかにしたので」
「よかったな」
「そうかと、これより当家はです」
「武田、上杉、毛利」
小寺がこの家々の名を出した。
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