精神の奥底
74 The Day 〜中編〜
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は、これが本物であると証明しなくてはならない。
しかし今のシドウにはそれを証明するカードが無い。
「それは……無い」
「じゃあ、あなたの要求は飲めない」
「くっそ……」
「……」
シドウは悔しそうな顔を浮かべて踵を返した。
今のシドウにとっては、Valkyrieに対抗しうる唯一の手段だったのだ。
それが失われたことはValkyrieに敗北に喫したことに等しい。
もしValkyrieの計画が終わっていないならば、そう遠くないうちにこの街やこの国の最後を拝む羽目になりかねないのだ。
シドウは他に有効な計画を立てようと頭をフルに回転させる。
しかし思いついたのは、ディーラーとValkyrieが本格的に対立して、ディーラーがValkyrieを潰してくれることを祈ることくらいだった。
立ち止まり、Valkyrieの情報を口にした。
「ディーラーが倉庫代わりにしていた図書館があったよな?」
「何故あなたがそれを?」
「どうやらValkyrieはついさっきまでそこを根城にしていたらしい」
「何ですって?」
ここにきて、ようやくハートレスがこちらに興味を示した。
圧倒的に優位な立場にあると思って臨んだ交渉は失敗し、圧倒的に不利な状況で捨て台詞代わりに残そうとしていた情報には食いつかれるという皮肉な状況ではあったが、シドウにとってはもう打つ手が無く、悔しいがディーラーが何とかしてくれることを期待することしかできなかった。
「やっぱり知らなかったか」
「……続けて」
「そこで色々とディーラーの情報や装備を掻っ払っていったようだ。だがそれを嗅ぎつけた何者かと争って拠点を移したようだ」
「何者か?」
「攻撃の痕跡からコーヴァスでもヴァルゴでも、ましてスターダストでもないことは見当がついた。いつ警察が来るか分からない状況だったから、詳しくは調べてられなかったが、痕跡を残しているあたり、相当な戦力は持っているがプロじゃないないことは間違いない」
「……」
「なぁ。もしかしたら、Valkyrieの計画はまだ終わっていないんじゃないか?」
「……」
「俺に言えるのはそれだけだ。じゃあな」
「待ちなさい」
ハートレスはシドウを引き止めた。
シドウは不意を突かれたが、瞬時に振り返る。
「そこを動かないで。少し待ってなさい」
「なんだって?」
「トラッシュ、二人が少しでも怪しい動きをしたら追い出しなさい」
『……』
ハートレスはシドウとアシッドに釘を差し、トラッシュを番犬にすると、一度屋敷の中に戻った。
すぐに戻ってきたものの、シドウとアシッドはトラッシュと三分程にらめっこし、何処から攻めてくるかと全身の神経を尖らせていた。
「だったらこうしましょう。とりあえずそのカードはこちらが預
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