精神の奥底
74 The Day 〜中編〜
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「それが難しいからディーラーの力を借りたい。今のお前たちは俺が抜けて戦力が欲しいはずだ」
「笑わせないで。あなたごときの代わりくらいすぐに用意できる。自惚れないで」
「今のサテラポリスじゃ、Valkyrieには勝てない!せめて俺だけでもやるしかない」
「サテラポリスでも勝てないって分かってるのに、自分なら勝算があるとでも?」
しかしハートレスは強気の姿勢を崩さない。
スターダストの修正パッチともなれば、交渉はテンポよく進むと思っていたが、予想は大きく外れた。
だがシドウにもまだカードは残っている。
「今の俺はディーラーにいた時の俺とは違う。今の俺にはアシッド・エースの力がある」
『そちらのジョーカーにも匹敵し得る力だ。悪い話では無いと思うが?』
「……」
高圧的な態度を取ったアシッドをハートレスの胃がキリキリと痛みそうな程に鋭い視線が襲う。
その態度がハートレスの中の何かのスイッチに触れたのか、シドウが懸念していたことの数々を口にし始めた。
「短時間しか持続しない力でしょう?ロキの子にすらなれなかったあなたが戦力になれるなんて……随分と大きく出たわね」
「チッ……」
シドウは痛いところ突かれ、心境が顔に出ていないか不安になる。
だがハートレスは止まらない。
「それにあなたがサテラポリスに追われてるっていうのも本当かどうか?こちらに取り入るための偽の情報なのかもしれない」
「確かにそれは証明できない。だけどここには俺一人で来た。ビジライザーがあるなら、発信機の類は持ってないことが分かるはずだ。サテラポリスはここを掴んでない。それで少しは安心して欲しい」
「サテラポリスが知りもしないのに、何故この場所が分かったの?」
「情報提供者は明かせない」
「じゃあ、交渉はここまで」
「待て。分かった、正直に言う。シャムロックが調べたんだ。だが頼むから、彼女には手を出さないでくれ」
交渉は想像以上に難航した。
互いに一歩も引かない。
こちらが持ちかけている取引である以上、ハートレスの機嫌を損ねればそこで終了だ。
それでもこちらに分があるとシドウは確信していた。
だがその優位性は両者にとって想像以上に扱いが難しいことを思い知ることになる。
「大体、その修正パッチが本物であるという証拠は?」
この一言でシドウは持っていたカードを一度に全て失った。
先程からハートレスが取引に懐疑的だったのも、これが理由だ。
本物の修正パッチであるならば、喉から手が出る程欲しい。
しかし偽物である可能性もある。
偽物だと断定できるカードを持っていない以上、可能性は50対50。
しかももし偽物な上、ウイルスが仕込まれてでもいたら、ディーラーにとっては大きな痛手だ。
ハートレスと交渉を進めるために
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