18.奥の院での死闘(前篇)
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て、ぴくりとも動かない風伯を見つめた。
「王仁丸、アシュラ。ようやく、追いついた」
声のする方を王仁丸とアシュラは、振り向いた。そこには、孔雀と月読が、立っていた。
「あっ、孔雀と月読お姉ちゃんだ」
アシュラは、まるで子犬のように孔雀と月読の元に走り出し、孔雀に抱き着いた。
「遅かったじゃねぇか、孔雀。もう、俺は一戦交えたっていうのによぉ」
王仁丸は、にやりと笑った。
「ふん。それにしちゃ、傷だらけじゃないか、王仁丸」
そんな王仁丸の姿をみて、孔雀は、皮肉った。
「私も頑張ったよぉ。私が、いなかったら、絶対、王仁丸、負けてたよ」
アシュラもまた王仁丸をからかうように言った。
「てめぇ、アシュラ。ぶん殴るぞ」
王仁丸は、その大きな拳に息を吹きかけた。
「いやぁん、王仁丸がいじめる」
アシュラは、孔雀の後ろに回り、王仁丸にあっかんべぇをした。
「まぁまぁ。で、王仁丸、そこに倒れてる奴とやったのか?」
孔雀は、体から煙をだして倒れている今まで人間であった者を見た。
「あぁ、嵐の師とか言っていたぜ」
王仁丸は、流れる血を気にすることなく、孔雀に言った。
「そんな。風伯様が、父についていたなんて」
月読は、ショックのあまりその場にへたり込んでしまった。
「知っておられるのですか?月読様」
孔雀は、月読を気遣うように聞いた。
「女人堂では、人格者で、心優しく、時には、厳しい尼僧です。それなのに、何故、父方に。。」
月読は、言葉を詰まらして言った。その時、消し炭になった風伯が、ゆらりと立ち上がって来た。
「馬鹿め。こんなことで私は、倒れぬは!!」
風伯は、そう言うと同時に、断末魔のような叫び声をあげた。すると、風伯の体は、どんどんと変化していき、まるで、かまいたちのような怪物になっていった。
「なに、あれ」
アシュラは、恐怖と驚きで目を大きく見開いている。
「ちっ、闇に落ちやがったが!!」
王仁丸は、鬼の大斧を構えて、再びの戦いに備えた。
「アシュラ、月読様と一緒に下がっていろ」
孔雀もまた、独鈷杵を胸から抜き、アシュラにそう言って身構えた。
「うん、わかった。気を付けてね、孔雀」
アシュラは、月読の手をひいて、木の陰へ身を隠した。
「ふん。俺一人で十分なのによぉ。足、引っ張んじゃねぇぞ、孔雀」
王仁丸は、孔雀を横目で見ながら、にやりと笑った。
「お前こそな。行くぜ、王仁丸」
孔雀もまた笑った。
「孔雀?おのれ、闇の子」
風伯の形相は、鬼そのものだった。そして、風伯は、物凄い勢いで、体を回転させると、巨大な竜巻となって孔雀と王仁丸に襲い掛かった。
孔雀と王仁丸は、飛ばされないように大地に力強く踏ん張った。が、通り過ぎた後、孔雀と王仁丸の体に、無数の傷が
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