第七章 C.D.の計略
戦いの行き先
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けられたところがある。
その彼が、同じ電車に乗ってあの時間からここに来たまでの間に、それに気付かなかったというのだろうか?
「まあお前が気付かないのも仕方なしだな。だって俺は蒔風本人だもの」
「はァ?」
まったく意味の分からないことを言う蒔風。
だが、良太郎は何となくだが、彼の言いたいことがわかっていた。
事実、あの疑問点さえなければ彼も蒔風と話している気分だったから。
「そう、俺は他者に化けることが出来る。それは姿かたちとか、違和感を感じさせるとかそんな偽者になるような軟なもんじゃないぜ?」
そう、このイマジンの能力は「変身」だ。
しかも、全くそうだと思われる、思わせるようなことがないほど「もう一人」になれる。
それほどのレベルの能力。
そしてそのためにすべてを得ることも可能だ。
癖や口調、ちょっとした仕草から、記憶や能力までをも網羅する完全なる「変身」である。
だが、その根幹に根差しているのはあくまでも彼自身である。
さっきの質問も、おそらく蒔風なら即座に答えただろう。
《翼人の世界渡航能力の応用で時間を超えたのさ》と
実際にできる出来ないは、正直なところわからない。
だが、答えるだけだとしても、そう言うだろう。
彼はそれが即座に出てこなかった。
答えは簡単。
彼は彼自身の時の列車でここに来たからだ。
人は、自分が経験したものを元に話を進めるものだ。
何を当たり前のことを、というが、これが隠蔽や偽称の際には厄介になる。
どんなに気を付けて、そうではないと取り繕っても、自分のとった行動を元についポロリと言ってしまう。
だから、彼も一瞬止まった。
しかしそんな答えをすれば自分は敵だと明かすことになる。
だから考えた。
考えた末にさっきの蒔風なら答えたであろう言葉も出てきた。
だが、遅かった。
蒔風本人が言葉を出すには、どもり過ぎた。
それは蒔風本人であった彼にも十分わかっており、故に彼はこうもあっさりとニセモノであると認めたのだ。
これ以上はごまかしきれない。
野上良太郎という頑固者の前では意味をなさないと、蒔風は知っていたからだ。
「じゃあさっき変身したのは」
「そう、俺だ。俺が久遠レイカに記憶を植え込むために見に行った時に俺自身が経験したことだからな」
こっち側の対応するのは難しくなかったよ、と半笑いで腰にライダーベルトを巻く。
同時に、蒔風だった姿が別人のものになる。
メガネをかけた、おとなしそうな男だ。
しかし、良太郎はその時点でやっと身構えたくらい。
ベルトを装着、姿が変わる、パスを手にしている。
それらの動作があま
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