第二章
第22話 混乱
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、やはり病気ではなかった。銃殺で確定だ。
「それより、俺の頼みを聞いてほしいんですけど」
「……何でも聞く。言ってくれ」
本当に何でも聞きそうな雰囲気が満々である。
今なら、冗談でこっちが肩車をお願いしても通りそうだ。
「今回の件、少し情報の整理が必要ですし、陛下の身の安全について俺から言えることをすべて伝えたいと思います。陛下と、ファーナ将軍と、俺とクロで、少し話をしましょう」
「……わかった、近くで待機させているので呼んでくる。少し待っておれ」
国王が入口に向かった。
「クロ……すまぬ。余のせいでリクが……」
入口横で下を見ながらそんなことを言う国王。
その目線の先では、クロが国王に頭をスリスリしていた。
良かった。クロも無事だったのだ。
……というか、クロにまで謝ってますね、陛下。しかも慰められてますね。
国王が一時退室して扉が締まると、クロがこちらにやってきた。
「リク……」
声に力がない。やはり心配していたのだろう。
「クロ、心配かけて悪かったな」
「怪我は大丈夫なのか?」
「ああ、大丈夫だよ。俺、またお前に助けられたんだろ? ありがとう」
「……」
「ん?」
浮かない顔だ。
「あの人間、結局逃してしまった」
「ははは、なんだそんなことか。いいよ。助けてもらっただけでもありがたいんだから」
「すまない」
そんなことは、本当にどうでもよかった。
やはりこの旅のゴールは、俺とクロが生きたまま元の世界――過去――に帰ることだ。
クロは人間よりも小さく、すばしっこい。拳銃の弾が簡単に当たるとは思えないが、万が一ということがある。
今回は、俺が生きていて、かつクロが無事。十分に満足だ。
「お前が無事であるほうがずっと重要だよ。そもそも、お前は俺の私物じゃないからな。大森家の飼い犬だ。だからやっぱり、あまり無理せずにだな、命を大事にということをだな、あの、その、最優先にということでだな――」
「……」
「……」
じー。
「…………」
「…………」
じー……。
「あー、もー、わかりました! 俺が悪うございました! 頼りにしてますから! これからも一生懸命に体を張って頑張ってください! 今後もよろしくおねがいします!」
クロは満足したようにベッドを離れると、入口のすぐ横で座り込み、顎を地面につけた。
本当に頑固だ。
……しかし。
生身の人間である犯人が、犬であるクロから逃げ切れたというのはすごいと思う。何か道具を使ったのだろうか?
クロに聞いてみようか。あの男の正体のヒントになるかも……?
あ、いや、ダメだ。
今この流れで聞いてはいけない。
逃
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