第二章
第22話 混乱
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ことにした。
落ち着いたら、俺が気絶してからのことの聞き取りと、今後についての相談だ。
ふう……。
遺跡でのやり取りを思い出す。
……やっぱり俺が悪かったんだろうなあ。
例によって、俺は今まで人を真剣に説得したこともなければ、真剣に説得されたこともない。
そのような状況が、二十二年間で一度も発生しなかったからだ。
それが言い訳になるのかはわからないが、今思い返すと、あのときの説得の仕方が酷い。
この国王のことだ。来る前にしっかり遺跡のことを予習して、発掘の計画資料にも目を通していたのだと思う。
昨日の日中は砦で視察をしていたと思うので、夜遅くまで、遺跡のどこを見て回るのかなどを、学者らと打ち合わせしていたかもしれない。
そのうえで、次の日の朝に到着したら、いきなり俺が登場して「帰れ」だ。
これではカチンとこないほうがおかしい。もう少し言い方というものがあった。
さらに、俺は半年前、最初に着いた町への転入手続きしており、すでにこの国の国民となっている。「あんたの部下ではない」「部外者」というのもおかしな発言だった。
そもそも、城に居候している身でよくあんなことが言えたな、という感じだ。
頭に血が上っていて全然ダメだった。
はー。
何かうまくいかないんだよなあ……。なぜこうなんだろう。
「…………ヒック」
胸の上の国王を見る。
さっきよりはマシになった気がする。少し落ち着いたか?
「あの、俺も悪いところはあったというか、むしろ圧倒的に俺が悪かった気がしますので。謝ります。申し訳ありません。
えーっと。昨日のことや今後のことについて話をしたいんで、できればそろそろ泣きやんでいただけますと」
「うう…………すまぬ……余のせいで……すまぬ」
しまった。
俺の言葉がアクセルになってしまったのか、また大号泣になってしまった。
というか誰か来てくれ。いつまで続くんだ。
***
今度こそ少し落ち着いたか。
「あの。泣いてくれるのはすごく嬉しいんですけど、一国の国王が庶民の胸に顔を擦り付けて号泣というのはどうなんですかね?」
あと、俺の服が涙と鼻水でビショビショのようです。また着替えなきゃいけないんですけど?
……まあ、それは言わないが。
「……だって……仕方がないではないか。あの音は父が死んだときと同じで…………お前も……死んだのかと」
「あー、また泣いちゃダメですよ? ストップです。ハイ、ストップ。泣かれちゃ話ができませんので」
目が真っ赤。いくらなんでも泣きすぎだと思う。
そしてやはり、音は先代国王のときと同じだったようだ。九年前の先代国王の急死は
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