第23話。死徒と使徒。
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スフィアは絶望していた。余が・・・・我が心象世界が、死ぬ?
何かが割れる音が、自らの心を割っている音のように幻想し、まさに天から降る神柱のような、銀色の光を眺めていた。
「星屑に抱かれて消えろ!スフィア・ヘリオポーズ!!」
その瞬間。世界は銀色に彩られる。
眼を開ける。体の痛みは消えていた。この体は回復力も凄いようだ。今まで怪我したことすらなかったから知らなかった。
元の屋敷に戻ってきた。魔力は再び体内に閉じたようだ。スフィアの存在は見当たらない。
「っ!そうだ!シオン!!」
急いでシオンを探す。少し遠くにだが存在を確認。
「良かった。無事・・・・うっ。」
シオンの姿は・・酷かった。数秒であるが、あの熱気の中にいたからであろう。
肌は真っ赤にただれ、全身水ぶくれ。全身に重度のやけどを負っていた。
「シオン・・クソッ!どうにかせんと・・・・」
こんなことになるなら、回復系の魔術でも習っておけばよかった。
しかし、自分に悪態ついてもどうにもならない。知識・記憶を総動員させ、解決策を探る。
「・・・・姉ちゃん達の所に運ぶににしても時間がない。その前にシオンが・・それに間に合ったとしても、姉ちゃん達が直せなかったら意味がない。」
俺に出来ることは・・・・
そう考え、ある出来事を思い出す。それはイリヤと話している時であった。
「なあなあ。ドラゴンの血を飲むと不老不死なるとか、なんでも効く霊薬だってほんとなん?」
「私は飲んだことないから知らないけど」
「のんでたらビックリやわ。」
「そうだって言われてるわね。いきなりどうしたの?」
「いやな。俺の血とかどうなんやろ?って思って。」
「・・・・そうね。極上の魔力が詰まってるんですもの。余裕じゃない?」
俺の・・・・血。
手段は決まった。後は方法だ。問題はどうやって『キズをつけるか』だ。
ひとまずガラスを割って持ってくる。そして右手にガラスの破片を握り、魔力を固める。
「まさか・・自分で矛盾したコトやることになるとわなっ」
勢いよく左手の掌に突き立てる。左手だけ解除。そんな器用なこと出来たら苦労しない。
魔力硬化で覆われた掌に、魔力硬化したガラスの破片で攻撃。なんてバカなことをしているのやら。
真剣な表情で掌を打ちつける晋吾の表情は、いつもの飄々とした顔と打って変って、鬼気迫るものがあった。
何度も何度も打ちつけ、諦めかけた時
「っ!」
痛みを感じた。
ツー・・ポタ
ごく少量であるが、掌からシオンの口に落ちる赤い雫。
晋吾は固唾を飲んで
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