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マイ「艦これ」「みほ3ん」
EX回:第68話<渡河作戦>
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わったのだろう。少しホッとした表情を見せる伊勢。日向もまた頷いた。

『では、行きます!』
流ちょうな英語で金剛が号令した。
まずは彼女ら金剛姉妹が水に降り立つ。

それを見たブルネイ提督が言う。
「そういえば間近で艦娘が水面に立つ姿は、あまりマジマジとは見たことが無い」

私は彼を見た。
「そうか? 私はあるぞ」

彼は少し驚いた表情。
「そうか?」

「ああ、美保の港湾内に敵が侵入されたことがあってね。そのとき艦娘たちが頑張って食い止めてくれた」
「なるほど」
私は北上さんの雄姿を思い出していた。

暗い海の上では金剛と比叡が、それぞれ『王宮男性』と女性秘書官を背負っていた。
「私としては、彼女らが人を背負っている姿の方が意外だ」

「なるほど、確かに江戸時代の河渡りのようだな」
ブルネイ提督が呟く。それは言い得てる。だが艦娘たちが完全に水面に立っているところが違う。

それでも恰幅(かっぷく)のいい『王宮男性』を背負って金剛が轟沈しないか一瞬、心配した。

でも普段、巨大な艤装を背負うだけあって、ちょっと大き目の男性くらいではビクともしないようだ……正直ホッとした。

念のため寛代が索敵する。しばらく耳を澄ますような格好をしていたが、やがて『オッケー』サインを出した。
「今なら大丈夫そうだな」

まず日向と龍田さんが先導するように水上を進んで様子を伺う。続けて金剛と比叡が後から慎重に進む。その両側を比叡2号と龍田さん2号が護衛する。彼女らは念のため護衛官からピストルを借りて簡易武装している。少しは安心か。

『王宮男性』と女性秘書官が艦娘の背中から軽く敬礼する。残された桟橋の私たちも一斉に敬礼をした。
「何とか無事に渡り切って欲しいものだ」

私たちの背後の水上集落からの災に照らされ紅蓮(ぐれん)に染まる艦娘たち。

(情熱の色なのか? 流された多くの血の色なのだろうか?)
一瞬そんな思いがよぎる。金剛たちは徐々に暗くなった河を進んでいく。

彼女らが出発した直後、私たちが居た会議室が攻撃されたらしく、いきなり背後から大きな轟音が響いた。反射的に振り返ると水柱が上がり建物が半分水没し始めていた。

私たちの周りにも水しぶきが降り注ぎ、あたり一面に無数の木片や紙くずが舞っている。

私は言った。
「ムチャクチャになってきたな」

ブルネイ提督は言う。
「だが、あそこが攻撃されたということは、かなり形勢は不利だな」
「しかし要人は脱出した。とりあえず間一髪というところか」
「俺たちも退避しよう」
「ボートはないし、どこへ逃げるんだ?」

彼は少し明るい表情を見せた。
「この水上集落はかなり広い。敵の攻撃も、この会議室周辺に限られている。住民たちも
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