40話:小さな騎士たち
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外の喜びの時間だ。
ちょこんと正面に座るオスカーは、貴公子然とした容貌もあるが、幼いながらに少し教えるとサマになる雅さがある。隣に座るワルターは、おそらくシェーンコップ家でもかなり厳しく教えられたのだろうが、当初は型通りに済ますことが多かった。なぜそうするのかを教えると、自分なりにアレンジするようになった。自己主張が強いがどこか可愛げがある。そしてオーベルシュタイン卿、あの子は教えた事を完璧にこなすけど応用が苦手なよう。でも、私はオーベルシュタイン卿がいちばんやさしい心を持っていると思っている。アレンジの理由をワルターによく確認してるし、シェパードのロンメルも役目を意識して赤子のアルブレヒトの傍にいるが、一番懐いているのはオーベルシュタイン卿だ。
「ワルター、スイーツは予備があるから、ちゃんとおばあ様へのお土産に持っていきなさいね。私ばかりあなたとスイーツを楽しんでは申し訳ないですから。それで今回のアレンジはどんな考えからだったのか教えて頂戴」
ワルターはいたずらが露見したような表情をして考えを話し出す。既に大元は理解しているから、どんな立場であればそれが通るか伝えるのが私の役目だ。オスカーも興味深げな視線でこちらを見ている。少しでも早く傷が癒えて自分を出せるようになれば良いのだけど......。
宇宙歴772年 帝国歴463年 1月下旬
首都星オーディン リューデリッツ邸
ゾフィー・フォン・リューデッツ
「オーベルシュタイン卿、貴方は投資案件の方でも活躍していると聞いています。いくら私が身重とは言え、幼年学校の方も励まねばなりません。あまり無理はしないでくださいね」
「奥様、幼年学校の方はザイトリッツ様からも上位から落ちるような事が無いようにと指示を頂いております。ご安心ください。色々とご教授頂いた事が奥様のお役に立つのであれば、私の研鑽にもなりますのでご迷惑でなければお手伝いしたいのです」
オーベルシュタイン卿は今年11歳。まだ子供だというのに夫のザイトリッツ様の仕事を手伝っている。そして、私が関わっているRC社の種苗・品種改良の事業でも何かと手伝いをしてくれる。夫も認めているが、かなり優秀だ。正直手伝ってくれるのは助かるし、表情に乏しいオーベルシュタイン卿が、自分なりの着眼点から代案を出し、それが採用されたときにのみ、少し嬉し気にする事を私は知っている。
楽しんでいることを取りあげる訳にもいかず、優秀であることも手伝って、本来の年齢ならもう少し子供らしい事をすべきではないのだろうか?と思いつつも手伝いを許している。
ザイトリッツ様も10歳でRC社をすでに設立されていた事も考えれば前例がないわけではないが、傑物の周囲には傑物が集まるのだろうか?そういう意味では、ロイエンタール家からお預かりしたオスカー
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