戦闘評価2
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とになったであろうと、その意見には無視できない。
それが嫌ならば、統合作戦本部長になるしかないのである。
自由惑星同盟首都を眼下に見下ろす窓から、街を望み、コートニーは静かに立っていた。
後ろ手に手を組んで、窓の方をまっすぐに見ながら。
「不満かね」
言葉にしたのは、背後に向けて。
会議の後で本部長室呼び出した、シトレ大将に向けてであった。
静かな言葉に、シトレは大きく首を振った。
「いえ。そのようなことは」
「少なくともビュコック中将は不満であっただろうな」
「……あの老人はいささか言葉がきついですから」
「羨ましいものだな」
呟いた言葉に、シトレが小さく目を開いた。
「君もビュコック中将の半分も意見をいいたかったのではないかね」
「それは」
言葉の続きは出てこなかった。
そこが兵卒上がりであるビュコックとおそらくは士官学校を卒業した者たちとの違いだろう。
ビュコックの言葉は正論として、そして突き刺さる暴論だ。
表彰など無意味だという言葉は、その表れなのであろう。
だが、上に立つものの責としては、それだけでは終わらない。
階級があがるたびに、そして立場が上になるたびに自らの意見を言えなくなる。
「だが。どうしても責任を求めることは無理なのだ」
それがコートニーの意見。
人事部が当初予定していた意見であり、そしてビュコックにとっては不満の残る結果だ。
「今回参謀に責を求めれば、下手をすればその責は我々にも向く」
「……それが必要というのであれば、私はその覚悟です」
「何も責任が怖いというわけではない。私は辞めればいいだけの話だ。地元に戻って、のんびりと酒でも飲んで引退する」
少し驚いたように、シトレは目を開いた。
統合作戦本部長ともなれば、次の就職は一流企業の顧問や政府の重鎮に就任する。
自由惑星同盟軍最高位であっても、通過地点にすぎないというものも多い。
「だが。君は違う。声が大きくなれば、下手をすれば君の立場はそのままに、ロボスが統合作戦本部長に就く可能性だってある。まだロボスはわかっていなかったようだが、それを耳打ちしないものがいないともいえない」
シトレの眉根が寄せられた。
作戦自体は成功としている。
だが、その後の軍のごたごたをマスコミに取り上げられればどうなるか。
報道次第では面倒なことに確実になるだろう。
そして、コートニーはそれを事前に握りつぶした。
「それに――アップルトン中将は優秀な司令官になれる人物だ。彼が次に司令官に上がらないとすれば、代わりになるのはまだ頼りない人物しかいない。君はムーアやパストーレのどちらがいいと思うね?」
「……スレイヤー少将は」
「彼がいくら優秀でもいきなりは無理
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