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銀河英雄伝説〜生まれ変わりのアレス〜
戦闘評価2
[3/6]

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決定していたならば、先ほどと同様に声に出すことにためらいはない。
 だが。
 コートニーを見れば、皺が入った眼はまるで寝ているように見えた。
「……事前に気づいた、彼ら士官を褒めるべきだと思います」

「褒める。それだけかね」
 最初に反応したのはビュコック中将だ。
 腕を組んで言葉を待っていた彼は、鋭い視線そのままにコーネフを捉えた。
「参謀については、全員を一階級昇任といたしております。その上で、統合作戦本部長からヤン・ウェンリー少佐とアレス・マクワイルド大尉には個別に表彰を……」
「たかだか紙切れだけで済ませるつもりなのか?」

「それは言い過ぎだ、統合作戦本部長から直々に表彰されるなど近年では珍しいほど」
「グリーンヒル中将。表彰など所詮紙切れにすぎぬ。そんなものもらったところで、腹が痛くなってトイレに駆け込んだ時の、トイレットペーパーにもならん。尻が痛くなるわ」
「はっは」
 皮肉気に呟いたビュコックの言葉に、笑い声をあげたのはコートニーだ。

 だが、和ませようとする反応は周囲には受け入れられなかったようだ。
 睨むような厳しい視線に、それ以上の言葉はなかった。
 ゆっくりとロボスが口を挟んだ。
「そもそも。今回の作戦は敵の攻撃がないとの前提で進めていたはずだ。そのための陸上戦隊や無人艦の投入による――その前提を覆すというのならば」
 見たのはシトレの方向だ。

「作戦自体が間違えていたという他がない。その責を求めるとすれば、最終的には許可をしたコートニー本部長以下の責任になるのではないかね」
「この作戦を考えたのは私だ」
「知っておりますよ、シトレ大将」
「だが、それを許可したのは私だということだな。そうなると、ロボスの言葉は決して間違えてはいないな」

 コートニーの言葉に、シトレは黙らざるを得なかった。
「そんな話はあとでやってもらいたい。私が口を挟める範囲を超えているのでな。だが――彼らを褒めるというのであれば、進言を無視した作戦参謀や情報参謀の上層部の責任はどうなるかははっきりさせてもらいたい」
「それについては……人事としては、先ほど述べましたが、全員一階級の昇任としたいと考えております」

「つまり、誰も責任を取らないということかね」
「ビュコック中将は責任論が強すぎないかね」
「信賞必罰は軍において当然のことだろう」
「だが、下から上がって来たとしても、情報を取捨選択するのが上官の役目ではないかね。今回はそれが間違えていたわけだが――それについては、そもそも想定すらされていない状況であれば、間違えたとしても責任を求めるのは酷なことではないか」

 ロボスから視線を向けられて、アップルトンは居心地の悪そうに姿勢を直した。
「いえ。それでは誰も納得できないでしょ
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