第二章
第21話 古代遺跡
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ことに指図することなど許さぬ」
「え?」
「お前は余に指図する資格などないと言っている」
「……は?」
……。
何言ってんだこいつは。
俺はあんたの部下じゃないぞ? 何が資格だ。ふざけるな。
「ああそうかよ……。だがあいにく俺はこの国の人間じゃないんでな。部外者として自由に、堂々と意見を言ってやる。ここは危険だからさっさと帰れ。今すぐにだ」
「貴様! 陛下に向かって何という態度だ!」
「おいリク、少し言い過ぎだ」
国王の後ろにいた中年の男と、俺の後ろにいた女将軍から、抗議の声があがる。
だがその声も、右から左へ流れていった。
「いいか、よく聞け。あんたは国王だ。あんたに何かあったら、みんなが困ることになる。代わりはいないんだよ。それがわかってるのか? 九年前、先代がここで倒れた。そして検死もロクにしていない。病気だと言われているが、そんな証拠もない。
つまり、九年前の件は何も解決してないんじゃないのか? それなのにあんたは何の対策もなくノコノコとここに来た。万一のことがあったらどうするつもりだ?」
「……」
「ちゃんと反論できないなら言うとおりにしろ。まあ反論できたところで、今日は力づくでも連れて帰るつもり――」
「おい! リク!」
俺の名前を呼ぶ大きな声が、下から聞こえた。
――うるさいな。今話し中だ。
ゴツン。
今度は体当たりのような勢いで、体を当てられた。
さすがに下を見て確認する。
あ、クロか。
……急に視界が広がっていく。
「クロか。悪い。ちょっとまわりが見えてなかった。どうした?」
「不審な人間がいる」
「……! どこだ!?」
俺はすぐに周りを見渡した。
パッと見る限りでは、作業に従事している者以外の人間は見あたらない。
「あの後ろだ。他の人間とは明らかに様子が違う」
クロが鼻で示した先には、巨大な瓦礫の塊のようなものがある。
距離は、二十メートルほどだろうか。
あのあたりには作業員はいなかったはずだ。
俺には誰もいるように感じないが、クロがそう言うのであれば間違いはないだろう。
「おい、そこにいるやつ! 出てこい」
いることを前提に叫んでみた。
疑問形では、いたとしても出てこないかもしれないから。
すぐに返事はない。
まさかのクロの勘違いだったか? と思ったところで――
一人の男が、瓦礫の陰から出てきた。
「……!」
そして、少しだけこちらに歩いてきて、止まった。
「よくここにいるのがわかりましたね」
男は、十代後半くらいの容姿に見える。まだ若い。
顔の色は白い。
ショートで真っ黒な髪と、頭部以外の全身を覆ってい
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