第一章
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諦めないことが
ソライは今はある村で薬屋をして暮らしている、だがその中で彼はよく客達から秘かにぼやかれていた。
「全く以てね」
「今の領主様は酷いよ」
「前の領主様も酷かったが」
「今の領主様もね」
「あれですね」
ソライは難しい顔で客達に応えるのが常だった。
「この国の領主は」
「誰もがですね」
「酷いですね」
「重税を課して拷問が好きで女好きで」
「いつもお屋敷では酒池肉林で」
「とんでもない人ばかりですね」
「民のことは一切考えず」
ソライは嘆く顔で言うのだった。
「そうしてです」
「はい、賄賂は取るし渡すしで」
「民から奪えるものは全て奪う」
「田畑も山も川も全く顧みず」
「どう私腹を肥やすかしか考えていません」
「宮中では陰謀ばかりと聞いています」
ソライはこのことも知っていた。
「高官になりより私腹を肥やす」
「そのことばかりですね」
「宮中においても」
「そればかりで」
「他には何もないのですね」
「はい、若し権力争いに敗れれば」
その時はというと。
「即座にです」
「言い掛かりをつけられて皆殺しですね」
「それも三族が」
親子兄弟全てだ、自分だけが殺されるのではないのだ。
「恐ろしい状況ですね」
「これで国がよくなる筈がないですね」
「そしてこの村も」
「こうした有様では」
「この国は何百年もこうです」
ソライは瞑目してこうも言った。
「悪くなる一方です」
「わし等も生きることも難しいです」
「まともな農具や肥料もないです」
長年の搾取と無策でそうしたものすらない状況なのだ。
「そこにさらに重税ですから」
「何かあると領主様のお屋敷のお仕事とかに駆り出され」
「田畑の手入れも出来なくなることが多いですから」
「一体どうすればいいんでしょうか」
「本当に」
「ここはです」
ソライは民達に話した。
「もう一気に国が変わって」
「そうしてですか」
「そのうえで、ですか」
「はい、領主である官吏達が一掃され」
世襲でありしかも全く働かず私利私欲だけの彼等がというのだ。
「まともな政治が行われるしかありません」
「そうなるしかないですか」
「ですが今のこの国は」
「もうです」
「どうしようもないですね」
「そうです、しかしそれが出来るか」
ソライはこのこともわかっていて言うのだった。
「非常に難しいですね」
「そうですね」
「誰かわし等を救ってくれる人がいれば」
「そうした人が出てくれるか」
「どうなるか」
村人達そして国の者達はどうにか助かりたいと思っていた、それはソライも同じだったが彼にしてもだ。
一人で、幾ら神の血を引いていても出来るとは思っていなかった
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