第二章
第20話 現代人と古代人
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現在、馬車の中である。
乗っているのは俺とクロ、そして女将軍ファーナの三人。
向かい合わせで乗れるタイプの馬車なので、俺とクロが並び、女将軍と向き合うかたちだ。
国王のスケジュールを確認したところ、今日はドメリア砦の様子を視察し、そのまま砦に泊まるらしい。
そして明日午前中に遺跡のほうに移動、とのことだった。
俺たちが城に戻った時間は夕方であったため、城に頼んで運転手ごと馬車を借り、すぐに遺跡に向かうことになった。
おそらく、馬を休ませながらでも、明日朝までには遺跡に到着するだろう。
国王よりも先回りできる見込みである。
「あの」
「どうした? リク」
「将軍は俺に付いてきちゃって大丈夫だったんですか? 将軍としての公務もあると思うんですけど」
「ああ、大丈夫だ。そもそも将軍位の私に、陛下のことよりも大事な仕事などないぞ?」
「はあ。そうですか」
俺、あとで爺あたりに怒られそうだ。
一民間人が将軍を占領しているわけなので、本来は許されないことだろう。
「しかし……陛下はお前のことをたいそうお気に入りだが、こうやって心配して飛んで行くということは、お前も陛下が好きなのだな。相思相愛でよいことだ」
国王のことを話すとき、この人はずいぶんと優しい表情になる。
もちろん、部下の立場として慕っているというのもあるのだろうが、母親が子供に対して見せるような類の成分も混じっている気がする。
「確かに好きではありますけど。どちらかと言うと、尊敬という言葉のほうが近いような気はします」
「国民が陛下を尊敬するのは当然だと思うのだが。その尊敬とは意味がまた違うのか?」
「あー、少し違うかな? 昔の自分との比較で、あまりにも陛下が上を行っているので。すごいなと」
「……? どういうことだ?」
「陛下は今十二歳ですよね。十二歳の頃の俺って、もうどうしようもなくて、思い出すだけでも恥ずかしくなるくらい子供で、本当に酷かったので。
それに対して陛下はずっと大人で、何でもできるし、すごいなって。羨ましいに近い意味の尊敬です」
一般人の自分と比較。もしかしたら不敬な発言だったのかもしれない。でも、この人はたぶん怒らないだろう。
言った内容は完全に本音だ。自分が子供だった頃と比較すると、あまりにも違いすぎて泣けてくる。
まあ、今回の早々の遺跡入りについて言えば、一国の国王としては少し軽率だとは思うが。
「なるほどな。そのような意味か」
女将軍は、納得したようにうなずいた。そして少し前に落ちた髪をかきあげ、
「私もお前のことを十分に知っているわけではないが――」
と前置きをして続けた。
「確かに、私の見る限りでは、この国の出身ではないということを
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