暁 〜小説投稿サイト〜
緑の楽園
第二章
第20話 現代人と古代人
[4/4]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
れないはずなので、俺が一人コントをしているように見えたのだろう。

「えっと。ここは遺跡だ。この国の人たちが調査をしている。で、お前は基本的に俺に付いていてほしいんだが、周囲に明らかに怪しい人間がいたり、危険そうな物があったら、わかった時点で教えてほしい」
「わかった」

 犬は感覚が鋭い。
 人間ではわからないことも、わかるかもしれない。



 俺は遺跡を見渡した。
 まだ朝早い時間のはずだが、すでに学者や作業員らによる作業が開始されている。

 九年前に発掘調査がどこまで進んでいたのかはわからないが、今見る限りでは、すでに外観がある程度わかるくらいになっていた。
 内部については未だ手つかずのままと聞いているが、これから本格的におこなわれていくことになるのだろう。

 しかし……。
 何だ?
 何だろう。この不思議な感覚は。

 古代遺跡なのに、古代という感じがしないからだろうか。
 俺の中では古代遺跡というと、四大文明や、古代ギリシャや古代ローマのような、ボロボロの石造りといった感じの遺跡を連想する。

 しかし、この遺跡はかなり印象が違う。石と思われる部分もあるが、朽ちた鉄と思われる赤茶色の部分も多くある。
 古代の建築物というイメージとは程遠い。

 全体の形は、大きな円形、もしくは楕円形だろうか?
 ……うーん。少し大きすぎて全体像がつかみづらい。
 ドローンを飛ばして、上空から見てみたいところだ。

 そんなことを考えて首をひねっていると、女将軍が突っ込んできた。

「リク、何か思うところでもあるのか」
「あ、いえ。この遺跡の全体像はどうなのかなと。大きすぎていまいちイメージできないので」
「学者に聞いてみてはどうだ?」

 そうか。学者さんに聞けばいいのだ。
 これだけ外観がわかる状態になっているのであれば、イメージ図くらいは作っているだろう。
 俺は、作業を仕切っているであろう学者に近づいた。

「すみません。この遺跡の復元イメージのような絵とかってありますか?」
「あ、はい。ちょっとお待ちください」

 隣に女将軍とクロがいたからだろうか。頼んだらすぐに出してくれた。

「こちらです。客席と、変わった形の屋根がついた、大きな闘技場のような施設だったようです」

 どれどれ……。

 ……。

 ……え?

 …………?

「これは……。いや、何でだ……?」
「リク、どうしたのだ?」
「そんなはずは……。でもこの屋根の形は……」

 そこには、楕円形の構造物で、傾斜のある扇状の大屋根。
 俺が格闘技イベント観戦のために何度か行ったことのある施設、さいたまスーパーアリーナそっくりの絵が描かれていた。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ