第二章
第20話 現代人と古代人
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れないはずなので、俺が一人コントをしているように見えたのだろう。
「えっと。ここは遺跡だ。この国の人たちが調査をしている。で、お前は基本的に俺に付いていてほしいんだが、周囲に明らかに怪しい人間がいたり、危険そうな物があったら、わかった時点で教えてほしい」
「わかった」
犬は感覚が鋭い。
人間ではわからないことも、わかるかもしれない。
俺は遺跡を見渡した。
まだ朝早い時間のはずだが、すでに学者や作業員らによる作業が開始されている。
九年前に発掘調査がどこまで進んでいたのかはわからないが、今見る限りでは、すでに外観がある程度わかるくらいになっていた。
内部については未だ手つかずのままと聞いているが、これから本格的におこなわれていくことになるのだろう。
しかし……。
何だ?
何だろう。この不思議な感覚は。
古代遺跡なのに、古代という感じがしないからだろうか。
俺の中では古代遺跡というと、四大文明や、古代ギリシャや古代ローマのような、ボロボロの石造りといった感じの遺跡を連想する。
しかし、この遺跡はかなり印象が違う。石と思われる部分もあるが、朽ちた鉄と思われる赤茶色の部分も多くある。
古代の建築物というイメージとは程遠い。
全体の形は、大きな円形、もしくは楕円形だろうか?
……うーん。少し大きすぎて全体像がつかみづらい。
ドローンを飛ばして、上空から見てみたいところだ。
そんなことを考えて首をひねっていると、女将軍が突っ込んできた。
「リク、何か思うところでもあるのか」
「あ、いえ。この遺跡の全体像はどうなのかなと。大きすぎていまいちイメージできないので」
「学者に聞いてみてはどうだ?」
そうか。学者さんに聞けばいいのだ。
これだけ外観がわかる状態になっているのであれば、イメージ図くらいは作っているだろう。
俺は、作業を仕切っているであろう学者に近づいた。
「すみません。この遺跡の復元イメージのような絵とかってありますか?」
「あ、はい。ちょっとお待ちください」
隣に女将軍とクロがいたからだろうか。頼んだらすぐに出してくれた。
「こちらです。客席と、変わった形の屋根がついた、大きな闘技場のような施設だったようです」
どれどれ……。
……。
……え?
…………?
「これは……。いや、何でだ……?」
「リク、どうしたのだ?」
「そんなはずは……。でもこの屋根の形は……」
そこには、楕円形の構造物で、傾斜のある扇状の大屋根。
俺が格闘技イベント観戦のために何度か行ったことのある施設、さいたまスーパーアリーナそっくりの絵が描かれていた。
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