第二章
第20話 現代人と古代人
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ではどこなのだ」
「わかりません」
「わからない?」
「はい。俺、目が覚めたらこの国にいたので。たぶんワープ……転移をしたのだと思っていますが。元の国に戻れる方法があるのかを解明したくて。そのための調査の旅をしているんです」
「……!」
女将軍は驚いたのか、目を見開いている。
「すみません。いきなりこんなことを言っても信じられませんよね」
「そうだな……。転移と言われてもにわかには信じがたい話だ。しかし嘘を言っているようには見えぬな」
「ええ。嘘ではないですよ」
女将軍は少し俯いたような姿勢になった。
いきなりとんでもない情報が入ったので、頭を整理しているのかもしれない。
「そうか……。お前は私たちが知る国々より、もっともっと遠くの国の人間だったというわけか…………」
もっともっと遠くなのか。それとも異世界なのか。
それについては、まだ確定した事実というものはない。
ただし、俺の知る地球に未踏の地がほぼない以上、後者の確率がかなり高いとは思っている。
「陛下はそれを御存じなのか?」
「異国出身ということしか知らないと思います。俺がしている調査の内容については知っていると思いますが、単なる学術的なものだと思っている可能性が高いです」
町長から国王宛に届いていた手紙を、俺は直接見たわけではない。
だが国王の話を聞くに、俺の出自についてそんなに詳しくは書かれていなかったはずだ。
「ふむ。それなら、どこかのタイミングでしっかりと申し上げておくべきだな。知らないうちにお前が転移で元の国に帰国して、二度と戻りませんとなると、陛下が気の毒だ」
「あ、はい。そうですね。必ずお伝えしておきます」
女将軍の言うとおりだと思う。黙ったままではかなりの不義理となりそうだ。
少なくとも、首都を離れる前には言おう。
「……しかし。このような白紙状態の大人を生み出す国とは、一体どんな国なのだろうな」
女将軍は町長と同じようなことを言っている。凹むのでやめてほしい。
***
俺とクロとファーナ将軍は、遺跡に着いた。
まずは小さな詰所に挨拶をする。国王はまだ到着していないようだ。無事に先回りできたらしい。
少し安心し、歩いて遺跡のほうへ向かう。
「クロ、ちょっと面倒なお願いがあるんだけど、頼んでもいいかな」
「何だ」
「いやー、いつも対価なき労働で悪いと思っているんだけどさ。出張手当も危険手当も払ってないし、うん。今回もちょっとそんな感じで。でもクロが嫌でなければ、是非お願いしたいなーと」
「意味がわからない。普通に命令しろ」
「あ、はい」
女将軍が訝しげにこちらを見ている。
彼女はクロの言っていることが聞き取
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