第二章
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竜の子は樵が隠者の家、庵と言うには少し大きなその家から出て自分の家に帰ってから暫くして戻って来た、扉を元気に開けると隠者に笑顔で言った。
「おとう、今日は猪を獲ってきたぞ」
「猪か」
「そうだ、でっかい猪だ」
「そうか、ではその猪をな」
「食うんだな」
「そうしよう、山菜や茸や果物もあるしな」
こちらは隠者が採ってきたものだ、竜の子はこうしたものを採ることも魚釣りも得意だが家のことは二人で手分けして暮らしているのだ。
「猪は鍋にしてな」
「山菜や茸とだな」
「残った肉は干したり燻製にしてだ」
保存してというのだ。
「置いておこう」
「いつも通りだな」
「そうして食べていこう」
「わかった、じゃあな」
「腹一杯食べることだ」
隠者は竜の子に優しい笑顔で言った。
「いいな」
「おとういつもそう言うな」
「御前は本当によく食べるからな」
それ故にとだ、隠者は竜の子に優しい笑顔で話した。
「それでだ」
「じゃあおいら今日も沢山食べていいんだな」
「そうだ、そして食べた後でだ」
「学問だな」
「色々知らないといけないしな」
「わかった、そっちも教えてくれ」
竜の子は好奇心旺盛で隠者の教えることを何でも聞いてしかももの覚えがいい、二十年の間に読み書きを覚えて学問、特に魔術をよく覚えてきている。
「おらが大きくなった時の為にな」
「色々教えよう」
隠者は食事の後で竜の子に学問を教えた、そうしてその日を終えて次の日もだった。
竜の子と共に暮らした、竜の子は強くもの覚えがいいがそれでも姿は変わらない。二十年同じままだった。
だがある日のことだ、急に。
竜の子は朝起きて隠者に言った。
「おとう、何か凄く喉が渇くんだ」
「どうしたのじゃ?」
「わからない、けれど本当に」
「喉が渇いてか」
「ちょっと池まで行って」
家の傍にあるそこにというのだ。
「お水飲んでくる」
「わかった、わしも水を汲みに行くからな」
「それでか」
「一緒に行こう」
こう話して二人で池まで行った、隠者が水を汲んでいる間竜の子は水を驚く程の勢いで飲んだ。そうしてだった。
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