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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
38話:救済
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きたいのです。」

子供でもこれが資金を爺様に受け取ってもらう口実なのだと分かった。でも俺が気に入ったのは『今の帝国ではなかなか聞かない美談です。私としても是非お受け取り頂きたいのです』の部分だ。こういう時には相手の立場を踏まえて頭を下げてでも助ける。恩にも着せない。これが貴族としての有り様だと見せつけられた気がした。
どこからともなく現れた本物の貴族によって我が家の危機は回避されたのだ。翌日に返済の催促に来たガマガエルに一括で返済したときは、胸のすく思いだった。爺様もおばあ様もホッとしたのか泣いていたほどだ。

その後、あの方は出征されたと聞いたし、それだけならいつか恩を返そうで止まっていたと思う。数週間後、あのガマガエルと祖父の旧友が逮捕され、財産没収の上、本人たちは死罪。縁者も農奴に落とされたことが布告された。手を差し伸べるだけでなくけじめもしっかりとる。貴族という物や家名の名誉についてはまだ答えは出ていなかったが、貴族として生きるなら、こんな貴族として生きたいと思った。爺様も布告を知ってから気づいたらしく、

「ワルター、シェーンコップ家はリューデリッツ家に大きな御恩ができた。儂ではお役に立てぬ。いつかお前がお返しできるように励んでくれ。」

などと涙ぐんでいた。言われるまでもなく恩は返すつもりだったが、どうせだったら、あの方のような貴族として生きたい。爺様に黙って、リューデリッツ邸の前に向かっていた。丁度ロンメルを引き取って戻ってきたあの方と出くわせたのは幸運だったのだろう。幼いなりに思うところを伝えると、

「ワルター。恩義に着る必要はないよ。でも君の志は気に入った。まずは一緒に鍛錬するところから始めよう。丁度、今の君くらいの年頃から鍛錬を始めたんだ。志の礎になるモノは得られると思うよ。」

それから、休暇で屋敷にいる間は毎日するという鍛錬に参加しだした。正直3人とも化け物だ。とんでもない鍛錬をしても平然としている。そして3人とも勉学の面でも優秀だ。面白く教えてもらえるため、あまり好みではなかった勉学も好きになりつつある。

「ワルター。息は整ったかい?まあ、無理しては身体のどこかに負担がかかってかえって鍛錬が遅れるからほどほどにね。」

あの方がさらに数周し、すこし浮かんだ汗を拭いながら、声をかけてきた。目の前でこれくらいできて当たり前だと数倍の鍛錬をされて、無理せずにいられるものなのだろうか。

「そうだ!ワルター。今日の夜に予定がないなら、夕食に付き合ってくれないか?同じ年頃の者を招いているんだ。さすがに2人きりでは向こうも緊張するだろうから。」

そしてたまにこういう褒美をくれる。シェーンコップ家では爺様とおばあ様の好みに合わせて味は薄目だし淡白なものが食卓にのぼるが、こちらでは違う。そしてかなり
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