第二章
第19話 警告灯
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がある以上、ないと考えるほうが不自然なのかもしれない。
「……!」
「どうした? リク」
新聞には「国王、『第一回古代遺跡発掘調査』を明日視察」と書かれていた。
冗談だろ? と思った。
何でこんな早いタイミングで行くのだろう。
先代が九年前、同様に初回調査を視察し、奇病を発症して死んだという事実がある以上、もう少し慎重に動くべきだ。何が起きるかわからないのに。
しかもこんなことが大衆新聞に載るって一体どういうことだ?
きちんと情報を統制すべきだ。狼藉者が出たらどうするのだろうか。
「将軍、これ……」
「ほう。視察に行かれるのか。私は軍事以外ほとんどタッチしておらぬので、初耳だな」
「どう思います? 俺は強引に連れ戻したいです。危なすぎます」
「私も少し縁起が悪いような気はするが……。だが、先代国王の死因は原因不明の奇病だろう?
その後同じ病気と思われる発症例はないと聞いている。現国王が同じ病気になる可能性を指摘しているのであれば、気にしすぎなのではないのか?」
それが本当に病気なのであれば、そうだろうが……。
「将軍。俺、その奇病なるものは、少し疑わしいと思っています」
「どういうことだ?」
「先代国王の遺体は検死していませんよね?」
「ああ、していないだろうな。王族の遺体は手を付けぬことが、古くからの習わしだ」
「やっぱり……。その奇病、他の発症例がないというのが逆に怪しいんです」
「つまり?」
「俺は病気じゃない可能性があると思っています。誰かが殺害したんじゃないかと」
「何……? そんなことはありえるのか? 私も現場は見ていないが、突然大きな破裂音がし、心臓から血を吹き出したと聞いている。そのとき暗殺者が先代を襲ったという事実もないし、そもそもそのような殺害方法が存在するとは思えぬ」
確かに、それは女将軍の言う通りだ。
奇病の話を聞いたとき、俺は最初に狙撃の可能性を疑った。
しかし、この国には銃が発明されていない。
銃殺以外に、そのような現象が起こる殺害方法――それはまったく想像がつかない。
だが俺の第六感は、今回の国王の遺跡入りに対し、警告灯をハッキリ点灯させている。
先代国王一人だけが発症する病気? どう考えても不自然だ。
何らかの意思が働いたと考えるのが自然だ。
やはり危ない。
このままだと、何かが起きる気がする。
「将軍。俺、行ってきます」
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