第二章
第19話 警告灯
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ころが……。
人に仕事をお願いするというのは、思っていた以上に大変なことだった。
作業をお願いするときには、その目的、範囲、具体的な方法、期日の目安、注意点などを相手に伝える必要がある。
しかし、社会経験がなく、大学でもグループ作業を仕切ったことがない俺は、そのあたりの段取りが全然スムーズにできなかった。
打ち合わせをしたはいいが、上手く伝わらなかったり、
「あ、コレ説明し忘れたわ」
「あ、コレはやっぱりアレだ」
で、担当者を再度呼んでもらうことが続出した。
見るに見かねたのか、途中で爺のレクチャー……というよりもお叱りが入った。
打ち合わせでうまく相手に伝えるためには、まずそのための準備が必要であって、自分の頭をしっかり整理し、打ち合わせ用の資料も必要があれば準備しなければならない。思いつきで指示されると担当者も迷惑――とのことだった。
爺や、爺に紹介された担当者たちとの打ち合わせが一通り終わるまで、結局三日ほど費やしてしまった。
もしこれが会社だったら、もっと怒られていたのだろうか?
***
さて。今日は地図職人のところに行く予定だ。
ここはかなり重要そうなので、担当者任せではなく、自分で行ったほうがよいと判断していた。
ヤマガタの店は、城に比較的近い通りに存在した。
木造二階建てで、かなり古くみえる。江戸時代の商家の店舗兼住宅のような雰囲気だ。
「すみません。今日お約束をさせて頂いてましたオオモリ・リクです」
「ああ、あんたがそうか。中へどうぞ」
無愛想だ。
まあ、聞き込みというのは誰でも嫌に決まっているのだろうけど。
「こんにちは。お邪魔する」
「げっ! ファーナ将軍様ではありませんか。ああ、いや、これは、その……。あれ? そちらの犬は? 霊獣様にそっくりですが。あれ? 噂の犬ですか? 本物ですか?」
俺だけではまともに対応されない可能性が多分にあるということで、女将軍様も付いてきてくれていた。
クロも一緒なので、三人での訪問だ。
この地図職人の態度の変わりようを見てしまうと、どうやら大正解だったようだ。が、何だか俺だけ無力のようで寂しい。
ま……実際そうなのかもしれないが。
俺たちは、客間に通された。
二百年前の地図職人、ヤマガタ。
全土を測量し、そして十二年という短期間で地図を完成させたという。
この国における歴史上の人物である。
伝記によると、そのときには「協力者」なる人物が手助けをしていたという。
そしてその人物は、「高い測量技術を持ち、高度な移動の術が使えた」とされている。
この協力者の正体を明らかにすることが、首都に来た目的の一つでもあった。
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