第三章
[8]前話
「先程申し上げた通り怖さ、はしたなさだらしなさは」
「凄いのか」
「そうなのか?」
「嘘だろ、それ」
「この学校の女の子達なんてな」
「それは異性の目が多いからこそ」
瑛戸はさらに言った。
「気をつけているのです」
「じゃあその目がないとか」
「男の目が少ないと」
「しかも家族だと遠慮しなくていいしな」
「余計に凄いか」
「そうです、最早女性だけですと」
女だけと言っていい家ならというのだ。
「もうです」
「凄いか」
「行いも匂いも」
「全部か」
「そうなんだな」
「それを幼い頃から見てきていてです」
そうしてというのだ。
「僕は思ったのです」
「女のいないところにいたい」
「そう思ってか」
「それでなんだな」
「はい、狙撃は得意だからですが」
軍事関係の中で最もだ。
「レンジャーはバディを組みますね」
「二人一組でな」
「男だけでな」
「今のところ性別が違って組むのはないな」
「流石にな」
「だからです」
瑛戸は友人達に話した。
「僕はそちらも考えているのです」
「そこまで女が苦手かよ」
「そうなんだな」
「そうなのです、ただ」
ここでだ、瑛戸は女嫌いであることから連想されることについても述べた。
「僕は同性愛の気はないです」
「それはないんだな」
「ホモじゃないんだな」
「そうした趣味はないんだな」
「そうした感情を抱けません」
愛情やそうした感情はというのだ。
「このことはお断わりしておきます」
「そうか、けれどな」
「進路はわかったけれどな」
「それじゃあ結婚出来るのかよ」
「将来な」
「二次元という手があります」
瑛戸は自分のそうした将来についても思った友人達にこう返した。
「違うでしょうか」
「そっちか」
「今はそっちもあるからな」
「二次元キャラと結婚してる人もいるしな」
「それじゃあな」
「御前もか」
「そうも考えています」
瑛戸は友人達ににこりともせずに答えた、彼の進路は少なくとも先生に告げて自分でも確かに決めていた。
彼は実際に防衛大学に入学し陸上自衛隊に入隊し狙撃兵からレンジャーになった、だが女嫌いは相変わらずで。
これで結婚出来るのかと周囲は心配した。しかしそんな彼も三十を過ぎた時にまさに大和撫子という可愛い静かでかつ匂い立つ女性と巡り合い結婚した。ここで周りも彼が嫌いなのは何であるのかもわかったのだった。
将来の進路 完
2018・9・19
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