37話:3年後
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のです。ご本人がすでに居られないとはいえ、御恩のある御家の危機を見過ごしたりすれば、ご依頼主も寝ざめが悪くなりましょう。むしろお受け取り頂ければ、ご依頼主も少しでも借りを返せたと胸のつかえが取れるでしょうし、貴家も次代の当主が育つまでの時間が作れることになります。今の帝国ではなかなか聞かない美談です。私としても是非お受け取り頂きたいのです。」
そう言いながら、頭を下げると折れて資金を受け取ってくれた。少し開いたドアから6歳位の少年が面白いものを見るような目をしていたのが見えたのが記憶に残っている。
事に関わった以上、最後まで処理するのが俺の流儀なので、保証人契約書をもって脂ぎった評判の悪い商人が来て困った様子で帰っていったことも、その後、カストロプ家に向かったことも映像として残しているし、飛んだ本来の借主の口座に、そもそも入金が無かったことも証拠として確保した。こいつらを叔父貴に届けて俺の特命は終了だ。
黒幕までは届かないだろうが、実行犯はそのうち指名手配・重罰になるだろう。下級とは言え貴族に対して破産目的の詐欺をしたわけだ。財産も没収されるから結果的にはエビで鯛を釣ったことになる。その辺は宮廷警察が行うことになるだろうが。
話を戻そう。シュタイエルマルク提督の元帥府には、軍部系貴族の次代が多数招集された。長兄のローベルトと、その義兄ミュッケンベルガー卿も中将として正規艦隊司令を任されているし、次兄のコルネリアスは少将として、参謀長を任されている。シュタイエルマルク家に婿入りしたこともあって、一番弟子と言ったところだろうか。
私たち兄弟になにかと縁があるメルカッツ少将は長兄の艦隊で分艦隊司令だ。彼は次世代艦の運用の適性が高かったようで、現在の帝国軍で一番練達した分艦隊司令かもしれない。順調にいけば正規艦隊司令になれるだろう。
年末にはオーディンに戻る。歴代で幹事は引き継がれている様だが、『ザイトリッツの日』幹事長のテオドール氏にスケジュールは押さえられている。優秀な後進と縁を持てると思うと続ける価値はあるし、多少なりとも人柄を知ることで、相性を踏まえた紹介ができている。
ミュッケンベルガー中将は武門の家という意識が強いのか、軍部に近い貴族や下級貴族でも代々軍人の家系を好むようだ。テオドールとも合いそうだったが、彼も嫡子がまだ幼いのと、前線指揮官たちの意見集約に意外な適性を見せた為、手元に置いておくことにした。
兄たちは身分は気にしないが、意外なことに長兄ローベルトはあまり礼儀を気にしない人物を好み、次兄のコルネリアスは逆に公私をきちんと分けられる人材を好んでいる。そしてメルカッツ先輩は問題児とまでは言わないが一芸に秀でた人材を好んでいた。佐官時代に俺や腹黒と関わった影響かもしれないが、そこは確認していない。
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