36話:ゾフィーとの出会い
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、オーディンには作らなかったと聞き及んでいますが、実際に見てみるとすごい広さですね。そしてさすがというか、水耕プラントなども最新に近いものを導入されています。こちらで改良されたものがイゼルローン要塞に導入されたりしたのでしょうか?」
「そう聞き及んでいます。本当は水耕プラントももう少し旧式の物だったそうですが、イゼルローン要塞を建設するにあたって、自給の観点から求められる性能が高まり、その研究の為に予算が下りたと聞き及んでおります。付け加えるなら、この惑星アースガルズは気候の変動がオーディンよりも幅が広いのです。帝国全体を考えますと、様々な気候で作物を試験できた方が良いというのもこちらに試験場が作られた理由になります。」
話が続くか心配していたが、それは杞憂に終わってよかった。そうこうしながら貴賓室に戻ってきたときに、ザイトリッツ様が少し真面目な顔になり話しかけてきた。
「ゾフィー嬢、卒業まであと2年という事だが、私も種苗事業や品種改良の重要性・可能性は理解しているつもりだ。今日改めて再確認したがRC社としてこの事業に進出することも考えている。屋敷を差配する役割はおろそかにはしてほしくないが、陣頭指揮はともかくとして事業化したときに関わりたいか?関わるならどんな立場で関わるか、この2年間で考えて頂きたいのです。お願いできますか?」
「どんな答えが出るかはわかりませんが、真剣に考えてみたいと思います。」
正直、今まで学んできた知識や経験を活かせる生き方が出来ればと思ったことがないと言えばウソになる。リューデリッツ領を含めて、辺境星域は毎年開発が進んでいる。必要とされる食料も増加傾向だ。開拓された地域では従来の品種では適正な栽培が難しい事もあるだろう。確かにRC社がこの分野に進出すれば、さらに生産効率を高める事が出来るだろうし、やりがいはあり過ぎる。ただ、当然、責任も大きい。今の自分でそんな大きな話に役に立てるのか?即答できない自分が情けなかった。
「今すぐに答えを出す必要はありませんよ。私も、領地を視察して農法の改善法を指導して回った際、素人なのにもかかわらず領民は何も言わずに従ってくれました。自信はありましたが、これで異常気象でも起きたらどうするかと、恐怖を感じたことを覚えています。貴方は私以上に専門家だ。影響の大きさをもっと理解しているでしょうし、だからこそ2年割いて考えて頂ければ良いのです。」
励ますように肩に当てられた手が温かかった。
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