第一章
[2]次話
鎌使いの女
周アネモネの実家のことは実はよく知られていない、しかしアネモネ自身は全く隠しておらず聞かれたらこう答えた。
「私の家?農家よ」
「あれっ、そうなの」
「アネモネの家って農家なの」
「そうだったの」
「うん、田んぼ一杯あって」
そうしてとだ、アネモネは聞いた者達に平気な顔で答えるのだった。
「それで広い畑もあるわよ」
「そうなの」
「じゃあアネモネも農作業してるの」
「そうなのね」
「そうよ、だから農業高校にいるし」
実家のこともあってというのだ。
「家に帰ったらよく農作業して将来はね」
「私達もそうだけれどね」
「大学は農学部だったりして」
「実家のお仕事継いだり」
「進路もね」
「最近出てる農業高校舞台のライトノベルや漫画みたいにしていくのね」
「多分ね。私農作業好きだから」
可愛いもの好きの彼女から思えない返事だった。
「それでね」
「家業継ぐこともなの」
「抵抗ないの」
「そうなの」
「そういえば農作業早いし」
「成績も悪くないし」
平均である、赤点はない。
「鎌使うのは特に得意だし」
「実家が農家だからなのね」
「そう、鎌は子供の頃から使うの得意で」
それでとだ、アネモネ自身も言うのだった。
「今もなのよ」
「鎌が一番得意なのね」
「農具の中で」
「そうなのね」
「そう。ただカマキリは嫌よ」
この虫はとだ、アネモネは笑って冗談も入れた。
「怖いからね」
「可愛くはないしね」
「動くものには絶対に攻撃するしね」
「雌が雄食べるし」
「絶対に向かって来るし」
「けれど鎌は得意よ」
アネモネは笑って話した、実際に農業高校ならではの作業の時も鎌を上手に使って作業をしていた。それは家でも同じで。
草刈りの時にだ、草刈り機を使いつつ一緒に作業をしている妹に言うのだった。晴れ渡った空の下薄いカーキ色のつなぎの作業服を着ている。
「草刈り機も嫌いじゃないけれど」
「いつもながらいい手際ね」
「慣れてるし。ただね」
自分と同じオッドアイの妹に言うのだった。
「やっぱり私はね」
「鎌の方がいいのね」
「うん、草刈ならね」
「姉さんが鎌得意なのは知ってるけれど」
妹はその姉に話した。
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