第七十一話 南の港町その四
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「毒の息は吐かないけれどな」
「けれどそれは相当ね」
「だから物凄く辛かったな」
「よく勝てたわね」
「それは俺っちがいたからよ」
芳直は笑って清音にこのことを話した。
「神の武器を持ってるな」
「ああ、それで術も使えるし」
「術で霧とか目くらましを出しながらな」
そしてというのだ。
「戦っていってな」
「それで倒したの」
「懐に飛び込んで倒してやったよ」
「一気に叩き切ったとか」
「そうしたさ、それで倒して仲間も助けたさ」
「大活劇だったみたいね」
「ああ、俺に族長も含めて何十人でスキュラー一匹に向かったな」
実際にそうした戦いだったというのだ。
「あの時の俺一人じゃ勝てなかったな」
「そこまで強かったのね」
「俺はあの時はまだまだ弱かったしな」
「じゃあ今は?」
今の時点の芳直についてだ、清音は彼自身に尋ねた。
「どうなの?」
「今は一人で大丈夫だよ」
芳直は清音に笑って答えた。
「俺っち一人でな」
「それだけ強くなったのね」
「あの時はこっちの世界に来たばかりでな」
「本当に弱かったのね」
「ああ、初歩の術しか使えなかったしな」
「それが今はかなりの術を使えて」
「そして巨人だの強いモンスターもかなり倒してきてな」
それでというのだ。
「場数も踏んできたしな」
「その分だけ強くなって」
「今じゃスキュラーもな」
このクラーケンに匹敵するまでに強いと言われているモンスターもというのだ。
「勝てるからな」
「一人で」
「だから安心してくれ、若しスキュラーが出てきたら」
「あんた一人でやっつけられるのね」
「ああ、絶対にな」
芳直は確かな笑みで話した、そうしてだった。
街の方を見てだった、彼は仲間達に言った。
「じゃあ十一人目を探してな」
「街で情報収集だな」
久志もこう答えた。
「それにかかるか」
「まずはそこからだな」
「いつも通りな」
久志は芳直に笑って話した。
「そこからだよ」
「そうだよな」
「じゃあ街を回るか」
「今私達は十一人いますので」
ここで言ったのは夕子だった。
「三人か四人ずつに分かれて」
「手分けしてか」
「はい、落ち合う場所を決めて」
そのことも定めてというのだ。
「そしてです」
「それぞれのグループで情報収集か」
「そうしましょう」
「そうだな、それが一番効率がいいな」
久志は夕子の提案をよしとして頷いて応えた。
「じゃあ落ち合う場所はな」
「何処にしますか」
「あそこがいいだろ」
一行は今は波止場から丁度出たところだがその目の前にわりかし大きな酒場があった、その酒場を見ての言葉だ。
「あの酒場で落ち合おうな」
「それでは」
「女の子は三人でいいわね」
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